若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

深読みロシア言論の自由

深読みの鹿之助です。

朝日新聞朝刊見出し。

「『ロシアは自由』の裏デモ弾圧」

う~ん、とうなりました。

「裏デモ」とは考えたな。

反戦を叫ぶデモは弾圧されるんでプーチンの裏をかいて「ロシアは自由だ!」とふざけて叫んでデモをしたけどやっぱり弾圧された、と深読みしたんです。

ちがいました。

「ロシアは自由と言ってるけどデモを弾圧してるじゃないか」という記事でした。

だれが「ロシアは自由」と言ったのか。

駐日ロシア大使ミハイル・ガルージン氏です。

朝日新聞のインタビューに流ちょうな日本語で答えた。

「虚偽の情報を流すのは国家の安全保障上の利益を損ないかねない行為。真実を伝えれば罰せられないんですよ」

 

ちょうどそういう問題を扱った本を読んでるとこです。

アメリカの表現と出版の自由に関する長い戦いの歴史」というと「え?」と思いますよね。

自由の女神でしょ。

憲法に書いてあるんでしょ。

書いてあるんですが今みたいになったのは1960年代だそうです。

ロシア大使と同じで「国家の安全、世の平穏を乱すような言論はダメ」だったんです。

とくに戦争が起きると厳しくなる。

第一次大戦のとき「徴兵制は奴隷制といっしょだ」と書いたビラを配って懲役10年。

「シベリア出兵反対のゼネスト」を呼びかけるパンフレットで懲役20年。

1920年代は「ほんとのことでも国家への信頼を失わせるようなことを言ったら犯罪」だった。

当時少数派だった裁判官ルイス・ブランダイスは「世の平穏を乱す恐れがあるからと言って罰してはならない。我々は魔女を恐れるあまりふつうの女性を火あぶりにしてきたではないか」と言ってます。

 

長い戦いの末、ベトナム戦争に反対したり政府の秘密文書をすっぱ抜いたりしても刑務所に入れられずに済むようになった。

どの程度までの自由が認められるかは神様が決めてくれるわけではなく私たちが決める。

イギリスの歴史家ウエッジウッドさんは「清教徒革命はまだ終わっていない」と書いてます。

自由と秩序の問題は永久に決着がつかないだろうというんです。

「自由優先派」と「秩序優先派」が戦い続ける。

 

ルイス・ブランダイスは「アメリカ合衆国を作った人たちは、幸福の秘密は自由であり自由の秘密は勇気であると信じていた」と言ってます。

やはり裁判官のウエンデル・ホームズは、「アメリカ合衆国の民主政治は、人生と同じで試行錯誤が基本である。より良い政治を求めて試行錯誤するためには自由な議論が必要だ。だから言論の自由こそ最も大切なものだ」と言ってます。

 

かなり気合のいるしんどい話です。

習近平さんもプーチンも「ウチもいっしょです」と言うと思いますが。

 

 

 

模範自動車道

車で走る道にも好みがあると思います。

高速道路をぶっ飛ばすのが好きな人もいると思います。

私が好きなのは天理の病院に行く道。

まず一直線である。

ぐにゃぐにゃ曲がらない。

そして片側一車線である。

追い越し追い抜きなし。

合流割り込みなし。

バイク自転車歩行者ほとんどなし。

犬猫鹿などなし。

自動車専用道路じゃないけど専用みたいなもんです。

模範的自動車道と言ってもいいんじゃないでしょうか。

表彰状をあげてもいいくらいですが車にほとんど乗らない私の表彰状はネウチない。

寝てても走れるような道。

今日も天気がいいので寝ながらじゃなかった、気持ちよく行ってきました。

まだ観光バスの姿を見ませんでしたがどうなってるんでしょうか。

 

弟妹願望

小学3年生のあきらくんは弟か妹がほしいそうです。

ゆうちゃんという立派な兄さんはいるんですが弟か妹がほしい。

「かわいいもんだ」と思うのはおとなの浅はかさですよ。

痛切な願いなんです。

先日、「〇〇君に弟ができる」という話を聞いた時、あきらくんは「絶句!」という感じだったそうです。

かたまってしまった。

出し抜かれた!

取り残された!

かなりの精神的打撃を受けたみたい。

相当落ち込んだみたい。

見かねたパパが「よし!朝起きたら枕元に妹を置いといたる!」

「クリスマスプレゼントじゃないんやから!」と口をとんがらせるあきらくん。

 

私は子供のころ「おにいちゃん」がほしかった。

妹ひとりだったんでお兄ちゃんのいる子がうらやましくてたまらなかった。

とくに近所の同学年のとしおちゃんのお兄ちゃんのよっちゃんが好きだった。

そのころ不思議だったのは、きのうまでいっしょに遊んでた子が中学に入ったとたん消えていくことでした。

ところがよっちゃんは中学に入ってもいっしょに遊んでくれた。

チャンバラや相撲をするときよっちゃんをさそいに行った。

よっちゃんが私たちと遊ぶのをおばちゃんが嫌がってるのに私は気づいてました。

なぜ嫌がるのか不思議であった。

 

いつの間にかよっちゃんも私たちの世界から消えて行った。

よっちゃんが郵便局に勤めてるという話を聞いた。

私が社会人になって、東成郵便局に行くことがあった。

何をしに行ってたのか忘れたけどよく行きました。

窓口によっちゃんがいた。

おたがい抱き合ってなつかしがることはなかった。

ある時私が「債権放棄の通知書」みたいなのを出しに行った。

それを見てよっちゃんが「たいへんやなあ・・・」と心から同情するように言った。

チャンバラの相手になってやった弟の友達が「債権放棄」の通知書を出しにきたのでしみじみしたんだと思います。

知床

知床の観光船の事故は荒天の予報だったそうだから事故というより事件ですね。

知床は行ったことがあるような気がするんですが自信なし。

大学の時高校美術部後輩のA君と北海道旅行しました。

ほとんど何もおぼえてません。

上野を出発した列車が東北のどこかの駅で台風のため4時間動かなかった。

青函連絡船に乗って函館の旅館に着いたのが朝の4時ごろだった。

旅館の人が「おつかれさまでした」と迎えてくれた。

「広尾」という町の旅館にとまったら、9月のはじめだったのにストーブをたいてた。

それから知床に行ったように思うんですが。

ものすごい風が吹いてたのが知床だったのではないなかろうか。

あとはおぼえてません。

帰りに東北の名勝として有名な・・・え~っと、名前忘れました、「なんとか渓谷」だったかな、そこで観光バスに乗った。

バスガイドさんが、バスガイドさん独特のヘンな区切り方と抑揚で「明治の/文豪/大町/桂月が・・・」と言ったのをおぼえてます。

 

これくらいしかおぼえてない。

旅行の費用を稼ぐために夏休みに日給600円でボイラーの横の室温40℃の塗装現場で30日間働いたのに。

その工場を紹介してくれた人に、「きつい現場やからな。ケツ割ってくれるなよ」と言われた。

あとおぼえてるのは、その時もらった18000円の中から妹にねだられて2500円のハンドバッグを買ってやったことです。

父が「かわいそうに」と笑ってたのもおぼえてます。

 

なつかしの・・・

小学3年生あきらくんが来ました。

かすかに「少年」への変身の気配を感じました。

顔や身体、全体的にちょっとだけ細長くなりつつある。

これから細長くなっていくんだな、という感じ。

 

久しぶりに2階に上がりました。

我が家は2階が孫部屋でした。

過去形になりつつある。

今や空き部屋である。

室内用のジャングルジム、すべり台、ブランコは処分しましたが、小物はまだおいてある。

 

あきらくんはなつかしそうにあれこれ見てました。

積み木いろいろ、プラレール、各種自動車。

近鉄特急「しまかぜ」を見つけた。

「これ、前の型やな」

初代「しまかぜ」です。

「こっちのほうがいいわ。今のはお子様向きの感じや」

そ、そうなんですか。

 

ゼンマイで動くちょっと大きめのパトカーを見つけた。

手に取って、「これ、うるさいねんなあ・・・」と言いました。

そう、うるさいんです。

床にこすりつけてゼンマイを巻くんですが、その音もうるさいし走り出すともっとうるさい。

我が家にあるおもちゃの中で最もうるさい。

神経にさわる音。

私が一番嫌いだったおもちゃです。

 

細長くなりはじめた小学3年生が昔(!)遊んだおもちゃをなつかしがる姿にしみじみしました。

本屋、ウクライナ、レジ袋

本屋に行きました。

駅前にある大規模書店チェーンの中規模店です。

レジは二つ。

待ってたんですが二つともなかなか手間取ってる。

一つのレジの前は80代と思える小柄な女性で、月刊誌「文芸春秋」と「ウクライナの歴史」みたいな新書を持ってた。

レジの女性となんかしゃべってる。

レジの女性が別の店員を呼んで、その店員が売り場に走って行った。

しばらくして戻ってきて月刊誌「世界」を見せたんですが高齢女性がこれじゃないと言いました。

で、また走って行って何か持ってきて見せたらまたちがうという。

ウクライナがどうのこうのと言ってました。

ウクライナ関連の本のタイトルをちゃんとおぼえないまま買いに来たんですね。

高齢女性の勉強意欲には敬意を表しますがレジに行く前に店員に聞いてほしいもんです。

 

そっちがぜんぜん進まないんですがもう一つのレジも動かない。

50代か60代と思える女性がレジの女性になんかぼそぼそ言ってる。

ぼそぼそぼそぼそ言ってる。

レジの女性も小声なのでどういう話かわからない。

エンエンとぼそぼそが続いたんですがやっと話が終わったという動きになった。

やっとすんだと思ったら、さっきまでぼそぼそ言ってた女性客が「・・・袋」とはっきりわかる声でと言った。

レジの女性が「袋はそこです」と答えた。

この書店は店の名前の入ったビニール袋を無料でくれるんです。

レジ袋じゃなくて販促品だから無料でいいんでしょうか。

女性客は大きな声で「前にもらったんだけど破れたのよ。本の角で破れるのよね」と言った。

レジの女性が「じゃあ紙袋で」と言ったんですが女性客は「雨が降ると困るのよね」と言った。

レジの女性はしばし考えてビニール袋を2枚取って重ねた。

女性客は大いに満足したようで「これでいいわ!」と大声で言った。

それで終わるかと思ったら終わらなかった。

女性客は店員の態度をほめだした。

「あなたは愛想が良くていいわ。あなたみたいな人だと助かるわ。あなたみたいな親切な人、少ないのよね」

 

ウクライナの女性(ウクライナ人じゃないですよ)がやっと終わったので私はそっちのレジに行った。

隣のレジの客はなおもしつこく店員をほめていた。

「前に来た時の人はなってなかったわ。つっけんどんで。こんな(手で太ったかっこうをしてみせながら)おばちゃんいるでしょ。無愛想な。あなたは愛想良くていいわ」

私が支払いを済ませて店を出るときもレジの行列を気にすることなく店員をほめ続けていた。

 

 

 

 

 

ウクライナ

ウクライナがこれほど戦い続けるとは思いませんでした。

すぐ降伏すると思ってた。

「札付きの凶暴なヤクザに襲われた一般市民」というとらえかただったから。

で、これほどがんばるとはウクライナとロシアの関係はどうなってるのかと考えたら何も知らないことに気づいた。

で、ちょっと調べたら、ちょっとどころではわからないことに気づいた。

何も知らないままいいかげんなことは言えないと思いました。

 

ここまでがんばるウクライナ軍とはどういう軍隊なのか知らない。

ゼレンスキー大統領が直接指揮してるわけじゃない。

乃木将軍とか山本五十六みたいな人がいるのか。

 

ウクライナも一枚岩ではないと思うんです。

徹底抗戦派も早期和平派もいると思う。

ヨーロッパの戦争の歴史を読むとだいたいその二つに分かれて味方同士の争いがある。

非常にややこしくなる。

今は「攻め込まれて焼かれて殺された」という一点でまとまってるんでしょうか。

 

色々わかりにくい。

平和ボケしてるからわかりにくいのかもしれない。

元軍人で政治学者のアンドリュー・ベースビッチはアメリカは戦争ボケしてると言ってます。

どっちボケでもない状態ってあるんでしょうか。

 

「身捨つるほどの祖国はありや」という問いに、戦争ボケアメリカのベースビッチは「ない!」と言ってると思う。

平和ボケ日本の私は、「え?そ、祖国って・・・?」という感じです。

ウクライナの人には「ある!」という感じなのかもしれない。

 

『合衆国憲法修正条項の歴史』という本を読んでます。

「言論出版の自由」を保証する修正条項ができて数年後、大統領を批判したかどで懲役刑を受けた人がいるそうです。

第一次大戦のころもウイルソン大統領の政策を批判して懲役10年とか20年とかの刑に服した人もいる。

現在のアメリカは世界でも有数の言論出版の自由を保障された国だけど、そこに至るまでは長い戦いの歴史があったのだという本です。

現在あたり前になっている「言論出版の自由」という概念を確立する上で非常に力があったのが裁判官ルイス・ブランダイスで、彼の言葉を引用してある。

アメリカ建国のために戦った人々は、『幸福に欠かせないのは自由である』と信じていたし、『自由に欠かせないのは勇気である』と信じていた」

戦ったことのないものにはわかりにくいですが、ひょっとするとウクライナの人にはわかるかもしれない。

 

祖国とか自由とか、本を読んだくらいではダメで、命がけでないとわからないものかもしれない。