若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

朝からニガニガしいぜっ!

 私が乗る電車は、たいして混まない。我が駅で乗る人も少ない。各扉に二人くらいが待っている。二列で、というほどのこともないが、だいたい二人、お行儀よく並んで待っている。顔ぶれも大体同じである。私の右には、いつも私と似たような年のAさんが立っている。
 一ヶ月ほど前から異変が起きた。Aさんの「右」に若い女性が立つようになった。「後ろ」じゃないのである。私は、はじめ、この女性は次の電車に乗るのだろうと思った。
 ところが、電車が来てドアが開くと、この女性はAさんの前をするりと抜けて、先に電車に乗り込んだ。
 ニガニガしい!と思った。別にたいしたことではないのであるが、この「するり」というのがいやな感じなのである。ニガニガしい!と思うのである。若い娘が!と思うのである。おっさんんや、おばはんなら、そんなもんかと思うのであるが。

 今朝も、「するり」であった。朝からニガニガしいぜっ!

 会社へ行くのは駅から自転車に乗る。駅の高架下の自転車置き場に置いてある。自転車置き場の前が、広場になっているので、たまに観光バスが止まっていることがある。出入り口がふさがれて、迷惑なのである。

 今朝も観光バスが止まっていた。
朝からニガニガしいぜっ!

 自転車置き場の出入り口に、観光バスの運転手さんが立っていた。自転車に乗ってきた人に、おじぎをした。
「おはようございます!ご迷惑おかけしますな〜」
先ほどのニガニガしさは一気に消えた。すがすがしい!と思った。単純である。
また一人きた。運転手さんは、また挨拶をした。いよいよすがすがしかった。

 私は、すがすがしい気持ちで、自転車に乗って出ようとした。
そこへ、いつも私と入れ違いにやってくる中年女性が自転車に乗ってきた。
 運転手さんは、その女性にもにこやかに
「おはようございます。入り口ふさいですみませんな〜」と言った。
彼女は、恐い顔をして
「こんなとこに止められたら迷惑なんよ!」と言った。

 運転手さんは、あっけにとられたような顔をしていた。

 朝からニガニガしいぜっ!