若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

忘れえぬゲームソフト「王将」

十数年前、謎の中年男性に勧められて買った「ザナドゥー」というゲームは、私には難しかった。
全然前へ進むことが出来なかった。
やる気がしなくて止めてしまった。

パソコン教室にも、数は少ないけれどゲームソフトが置いてあった。
「王将」という将棋のソフトがあった。
将棋は小学生のころちょっと遊んだだけで、駒の動かし方を知っているという程度であったが、コンピュータゲーム入門としては、いいのではないかと思って、そのソフトを買った。

自分の腕に応じてレベルを選べるようになっていたので、私は「初級」を選んだ。

序盤、私がやや優勢かと思えた。
中盤、断然優勢。
終盤、圧倒的優勢を保ったまま、一気に王手!

コンピュータ将棋恐るるに足らず!
己の知的レベルの高さ、論理的分析力の深さに満足したのもつかの間、一瞬の後、私は、コンピュータ将棋の恐ろしさを思い知らされることになった。

画面に、「あなたの番です」という表示が出た。

なぬ!?王様は逃げない!
コンピュータは、王手をかけられた王様をほったらかしにして、すみの方で「歩」を動かしたではないか。
これはいったい・・・・?

何しろ私は、将棋のことはよく知らない。
王手をかけたと思ったのは私の錯覚で、とんでもないワナにはまってしまったのか?
あるいは、私が「禁じ手」を使ってしまって、王様を取ることができないのか?
私が王様を取ったら、爆発するとか。
しばらく考えて、コンピュータに、「これでええんやな?」と念を押してから、王様を取った。

「あなたの勝ちです!」という表示とともに、ファンファーレが鳴り響き、画面には花火が炸裂した。

私の勝ち・・・。

レベルを「中級」に上げてみた。
序盤、私がやや優勢。
中盤、断然優勢。
終盤、圧倒的優勢のまま、一気に王手!
王様逃げない。私の勝ち。ファンファーレ。花火。

レベルを「高級」に変えても同じであった。
「レベル」に意味はななかった。

私は、メーカーに電話をかけた。
電話に出た男性が申し訳なさそうに
「プログラムに不具合が出まして・・早速お取替えいたします」

送られてきた「正常品」でやってみた。
序盤、私がやや優勢。
中盤、断然優勢。
終盤、圧倒的優勢のまま一気に王手!

王様はちょっと逃げたけれど、簡単に勝てた。

王様、やる気なし。

あのソフト会社、どうなったかな。