若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「日本帝国の申し子」を読む

ハーバード大学教授カーター・J・エッカート著。

韓国の資本主義は、日本統治時代に生まれ、はぐくまれたと主張する書物だ。

この本の訳は韓国では出版されていないそうだ。
近代的なものが、日本によってもたらされたと言う説に反発する韓国のナショナリズムのせいだ。
韓国の近代的なものはすべて日本がもたらしたのであるからありがたく思えと言うのが、日本のナショナリストだ。

ナショナリストというのは難しい人たちだ。
バレーボールの国際試合で、「ニッポン!チャチャチャ!」と叫んでいるだけでは、ナショナリストではない。
いっしょに叫ばない人に、「非国民!」と怒鳴りつけるようになると、立派なナショナリストだ。

ナショナリズム」に限らず、立派な主義主張を持っている人は、それはそれで結構なのであるが、他人を怒鳴りつけがちなのがはた迷惑だ。
遠くで怒鳴っているのを見るのは面白い。

「日本帝国の申し子」は大変な労作であると思ったが、一番印象に残ったのは例によって本筋と関係ない話だ。

15世紀、李朝第四代の世宗が、ハングル文字を制定して普及させようとしたところ、王立研究機関「集賢殿」のえらい学者が猛反対したそうだ。

漢字という立派なものがあるのに独自の文字など必要ない。
独自の文字を持っているのは、西夏吐蕃、日本など野蛮な国だ。
我々は野蛮人の仲間入りをすることはない。

新鮮な意見だ。
こういうのを「事大主義」という。
「大いなるもの」、この場合中華帝国に従っていればよいという主義だ。

いろいろな「主義者」が、自分と関係ないところにいるのは楽しい。

「集賢殿」は、「王立アカデミー」にあたるものだろう。
素敵なネーミングだが、「集賢殿会員」はちょっと気恥ずかしい。
私は辞退する。

「集賢殿」をネットで調べたら、韓国の高齢者支援組織のホームページの名前になっていた。
恥ずかしくないんですか。

ハングルこそ、合理的科学的で、世界一優れた文字だと書いている韓国の人もいる。
韓国が、先端的な分野で中国や日本を引き離しているのは、ハングルのおかげだと断言している。

麻原のような教祖のことを「グル」と呼ぶ。
この人は「ハングル教教祖」の「ハングルグル」、略して「グルグル」だ。
ハングルー精神に富んだ人だと言いたいが、論理が飛躍しているところは、ハングルーと言うよりカンガルーだ。