若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

朝日新聞に問う

昨日の朝刊、奈良版を開いたら、大きな見出しが飛び込んできた。

「絶妙のぼけぐあい」

おお!
誰のことか?
私のことではあるまいなー、と心配しながら読むと、「写真のピンぼけ」の話だった。

奈良市内の小学校で、三年生の授業で「針穴カメラ」を作って、市内の風景を写した。
現像してみたところ、なんともいい感じの「ピンぼけ」だったと言うのである。

この記事の見出しが、「絶妙のぼけぐあい」はどうかと思う。
「ぼくたちの針穴写真」とか、「楽しいピンホールカメラ」くらいにすべきではないでしょうか。

天声人語」では、四十年前、中学の音楽の授業でベートーベンの「運命」を聞いて、鳥肌立つ感動をおぼえたことが書いてあった。
さすがである。
四十五年前の私とは大違いだ。

四十五年前、中一の私は音楽教室で初めてステレオを聞いた。
黒板の左端と右端にスピーカーが置いてあった。
先生は、まじめそうな若い男の先生だった。
バイオリンケースを提げておられたから、バイオリンが専門だったのだろう。

先生はレコードをかざして、今からこれをかけます、と言われた。
「これがステレオだ!」と書いてあった。
「ステレオ」という言葉を聞くのは初めてだった。
みんなもそうだったと思う。

何が始まるのかと緊張して待っていると、教室の左のほうで、「ポーッ!」という汽笛が聞こえた。
「汽車だ!」

「シューー!シューー!」と汽車が動き出す音が聞こえた。
「シュッシュッ」と徐々にスピードが上がるにつれ、音は左から右へと移動した。
教室の中央で、汽車は全速力になったようだ。

だんだん音が右のほうに行き、小さくなっていった。
かすかに、「ポーッ!」という汽笛を残して音は聞こえなくなった。

教室は、シーンとしていた。
先生が厳かに、「今のがステレオです」と言われた。


ステレオって汽車のことか?
私は、丸刈りの頭をひねった。

たぶん、先生は「ステレオ」について説明されたのであろうが覚えていない。
まさか、「汽車」だけでおしまいということはなかっただろう。
ベートーベンか、チャイコフスキーか、メンデルスゾーンを聞いたのだろうが、覚えていない。
ここが「天声人語」の人と違うところだ。

鳥肌が立った記憶がないのだ。

オロナイン軟膏をつけていたからだろうか?