若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『トヨタモデル』

著者の阿部和義さんは東京大学経済学部を卒業、朝日新聞経済部編集委員を務め定年退職後は経済ジャーナりストとして活躍中。
えらい人だ。

朝日新聞の書評で、世界を席巻するビジネスモデルであるトヨタ方式を解き明かすだけでなく、影の部分も取り上げていると書いてあったので買った。
一兆円という無茶苦茶な利益を上げるには無茶苦茶をしているはずだ。

帰りの駅の本屋で買って25分で読み終えた。

「序章」は「中部国際空港を生んだトヨタモデル」で「予算削減の奇跡」などが取り上げられ、トヨタ方式が郵政公社社会保険庁の改革に生かされていると紹介してある。

「第一章」は「プリウス誕生」で、「燃費は二倍にせよ!」と怒ったり、「ハイブリッドができないなら開発グループは解散だ!」と声を荒げたり、「プロジェクトX」みたいな話だ。

影は?
「第五章」でやっと、「頻発する過労死とサービス残業」という見出しが出てくる。
誰だって、トヨタの話だと思うだろう。
ちがう。
「日本で」過労死が頻発しサービス残業が社会問題になっているという話だ。
トヨタでは、自殺した係長の奥さんが過労死だと訴えて裁判で認められたという一例だけが紹介されている。
この裁判の後、トヨタは過労死とサービス残業への関心を高め、働きすぎをチェックすることにしたそうで、著者は「どの程度のことができるか注目される」と書いている。
注目ね。

どんな本にも読み所はある。
この本では「あとがき」だ。
短いが充実している。

さすが世界のトヨタだけあって関連書籍が多く「読みこなすのに苦労した」そうだ。
著者が読みこなすのに苦労した「参考文献」とは!?

トヨタはいかにして最強の車を作ったか』『トヨタはいかにして最強の社員を作ったか』『トヨタ最強の哲学』『トヨタはどこまで強いのか』『トヨタ奥田イズムの挑戦』

トヨタのえらい人の自伝もある。
『商魂八十年』『私は三河人』

この本を書くのにお世話になったのは、トヨタの広報部と、著者が名古屋時代よく飲ませてもらった、じゃなかったお世話になったトヨタの専務だ。

この本は、愛知万博開幕にあわせて出す予定だった。
とほほ。
それがなんと、「なまけ癖で遅れてしまった」

あっちゃー!

トヨタグループなら、納期遅れは命取りですよ。
トヨタモデル」が全然わかっていませんね。