若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

結婚披露宴

「奈良を代表するエンタテイナー、イケメンナイスミドルロックンローラー若草鹿之助様です!」

自分で書いた歯の浮くような紹介文に勇気付けられて颯爽と会場に入っていった。盛大な拍手と歓声を期待していたが、まばらな拍手と失笑と言うか嘲笑に近い笑いに迎えられたのは遺憾であった。

式の前の親族紹介の時、今日の衣装はやはりまずかったかなと思った。
新婦のご両親はじめ皆さんカタイ真面目な方のようであった。
中でもひときわ目をひいたのが、自衛隊の制服姿の伯父上であった。
胸に色とりどりの記章を着けて、ハデさでは私の衣装といい勝負だが、あっちは衣装ではなく「礼装」と言うのだろう。

新郎新婦の席の横に立った私は、弁解というのもヘンだが、新婦側の親族席に向かって、新郎が育った家庭は決してアヤシイ家庭ではないと断った。キンキラキン衣装にサングラスの伯父がそんなことを言っても説得力はなかったかもしれない。ますますアヤシイと思われたかも知れない。

さて、いよいよ「鹿せんべいツイスト」広島初公開に入ったわけであるが、少しでも盛り上がるようにと、式の前に新郎新婦の友人達に踊ってほしいと頼んであった。式服姿の伯父さんにツイストを踊ってと頼まれて事情がよくわからず困惑していたようであるが、新婦側の友人は一人も踊ってくれなかった。新郎側の友人も踊るというより遠巻きに見ているという感じであった。

甥の会社の部長が張り切って踊っていた。
ツイスト世代だからか恥知らずだからかどちらかわからない。
もう一人、甥の会社の同僚が私のすぐ横で踊った。それはいいのであるが、この人、顔が楽しそうでない。仏頂面というか怒っているようである。
それはいいのであるが、この人、踊りが中途半端である。
手足をおずおずと動かしてお尻をもじもじさせている。
ツイストを踊っていると言うより、トイレに行きたいのを我慢している感じだ。

それはいいのであるが、この人、いっしょに歌うのである。
私が、「奈良の名物」と歌うと続けて「奈良の名物」と歌う。
「数ある中に」「数ある中に」
「日本人なら」「日本人なら」
「誰もが知ってる」「誰もが知ってる」
輪唱というのか。
それはいいのであるが、この人、私の耳元で面白くなさそうにボソッと歌う。
「うるさ〜い!あっち行け〜!」と叫びたかった。