若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

結婚式はいい

せっかく横で踊って歌ってくれてる人に「あっち行け!」とは失礼ではないかと思われるだろうが、私は実際困っていたのである。
自慢じゃないが、私は音感、リズム感とも悪い。
伴奏を聞きながら、はずすまいずれるまいと一生懸命歌っているのに、耳元でヘンな合いの手を入れられて焦ってしまったのだ。

「人間だって」「人間だって」
「一度食べたら」「一度食べたら」
「忘れられない」「忘れられない」
「不思議なその味」「不思議なその味」

歌いにく〜〜い!どこから歌っていいかわからんではないか。「黙っててください」と頼もうかと思ったら、一番だけで歌うのをやめた。あまりに単調なメロディに飽きてしまったのだろう。
実に単調なメロディなのだ。作った本人が言うのだから間違いない。
私自身、歌っていて、いつも二番に入ると飽きてしまう。

いつものように飽きてきたので披露宴会場を見渡す。
部長の次に乗っているのは花嫁さんのようだ。実に楽しそうである。
よかったよかった。

家内はと見ると、か細い身体をより小さくして私から目をそむけうつむいて消え入りそうな風情である。
家内は、か細さを気にして時々ダイエットしている。
あれ!家内の後ろのほうで激しく踊っている人がいる。誰かと思ってよく見ると、なんと、新郎の母、つまり私の妹ではないか!留袖にタスキ姿もりりしく、家内以上にか細い身体で、高見盛を思わせるボディアクションで踊っている。
まさか「新郎の母」が踊るとは思っていなかったのでこれには驚いた。
私でさえ驚いたのだから、新婦のご両親の驚きはいかばかりかとお察し申し上げた。

兄一人に恥をかかせてはいけないという妹の心なのか、息子の披露宴を寒いものにしてはならぬという母心なのか、いずれにせよ妹の「狂熱の留袖ツイスト!」を見ていて胸に熱いものがこみ上げてくるのであった。

しかし、一番喜んだのは天国の父だと思う。
かわいがっていた孫の結婚披露宴で、私が歌い妹が踊ったのだから陽気な父はさぞ満足してくれたことであろう。

思わぬ「輪唱」に足を引っ張られそうになりながらも無事歌い終えることができたがこれで終わりではない。
今月の27日には姪の結婚披露宴で歌うのである。
兄妹そろって「鹿せんべいツイスト」を歌ってくれと言うのだから、やはりアヤシイ家系なのかもしれない。