若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「妻」という字

何年か前、Aさんが「最近、『妻』という字が『毒』に見えてきました」と言ったときは驚いた。

私よりいくつか年上の温厚そうなAさんがそういう内容のことを言うとは思わなかったというのではない。
特に親しいわけでもないAさんの家庭の状況など知るわけがないし関心もない。
奥さんが毒であろうと薬であろうとどうでもよろしい。

Aさんにそんなセンスがあるとは思っていなかったのだ。
「妻」と「毒」。
言われてみれば似ている、ような気もした。
その場で字を書いて確かめたわけではない。

毒と似ていると言われる妻も気の毒だが、似ていると感じる夫も気の毒だ。
いずれにせよ、「妻」と「毒」が似ていると感じるのはステキな能力だ。

ウチの娘二人は年がくっついているので、妹のほうは背伸びしてというか自然にというか中途半端に漢字を覚えていった。
ある日のこと、姉が友達と漢字の勉強をしていた。
友達が「雲」という字を指して、「これ、『ゆき』やったかな?」と聞いた。
姉に負けるものかと妹のほうがしゃしゃり出て、勢い込んで
「そうそう!『くも』とも読むけどねっ!」

末っ子の息子が字を覚えだした頃。
「この字はなに?」と言って「と」という文字を見せると「す」と答える。
どうして「す」間違えるのかと思っていたら、そばで弟のお勉強を見ていた娘が、「あっ!」と叫んだ。

「パパ!『と』はカタカナの『ス』と似てる!ホラ・・・さかさまにしたら・・・」
ボーゼンとした表情である。
弟のすばらしい能力に圧倒されている。

私もうなった。
「と」と「ス」が似ていることを見破るとは・・・。
空海によって封印されたところのひらかな「と」の字のナゾが、千年の時を経て今天才少年によってときあかされたのだ!