朝日新聞「天声人語」で「詩」が紹介されていた。
三歳児が言ったことを母親が書きとめたものだ。
「あのねママ
ボクどうして生まれてきたか知ってる?
ボクね ママに会いたくて
生まれてきたんだよ」
じつにおごそかな言葉である。
なぜこの世に生まれてきたのかという人類永遠の謎に対する単純明快な解答だ。
全宇宙を肯定する力強い言葉だ。
お釈迦様は生まれてすぐ「天上天下唯我独尊」と言ったそうだが、さすが人生経験豊富なだけに三歳児のほうがはるかに上だ。
「天上天下唯我独尊」と言われても、「ああそうですか」と言うほかないが、この三歳児の言葉には身の引き締まるのを感じ、思わず手を合わせたくなる。
谷川俊太郎さんや相田みつおさんの詩に似ていると思ったが、逆だ。
谷川さんや相田さんが三歳児のまねをしようとして恥をさらしているのだ。
おとなにできるのは子供のじゃまをせずを観察することくらいだ。
ミヒャエル・エンデが『モモ』の中で、子供になりきったつもりで子供が遊ぶ姿を描いている。
読んでいて恥ずかしくなった。
気の毒であった。
では、谷川さんや相田さんにはこんな詩は書けないか。
あの人たちに書けるわけがない!おとなには書けない!と言いきれればスカッとさわやかオロナミンCであるが、人間何をするかわからんからな〜。
芸術家、芸人ならなおさらだ。
舌先三寸で人類の代弁者となることも可能だ。
しかし、谷川さんや相田さんが、「ボクね ママに会いたくて生まれてきたんだよ」と書いたら張り倒したくなるのも事実だ。
谷川さんなら、紙おむつか粉ミルクの宣伝用に書くかもしれんな。
あんたね〜、幼児虐待被害者の気持ちも書いてやれよ、と責めるのはいくらなんでも酷だ。
そこまで言う気はない。
彼にも生活がある。
何が気に入らん?
もし、こういう「詩」を書いたら名前を出さないでほしい。
「よみ人知らず」なら許せる。
そうか、谷川俊太郎とか相田みつおという名前が気に入らんのかな?
イヤ、顔が気に入らんのか?
ますますわからなくなってきた。
すばらしい「詩」から出発して迷路に入り込んでしまったではないか。
朝からの感動が台無しだ。
悪いのは谷川俊太郎と相田みつおだ!
クソッ!
おぼえておれっ!