「速習」というのは、感じのいい言葉だ。
きらいな人はないと思う。
さっと身につく。
いいじゃないですか。
「速習英会話」
「速習企業経理」
「速習フォークギター」
見ただけで気分が落ち着く。
世の中、なんとかなるもんだ、という気になる。
「速習できたものなんかあったかな?」
「さっと身についたものなんかあるかな?」
こういう、余計なことは考えない方がいい。
「速習」という言葉の魅力が色あせてしまう。
朝日新聞書籍広告。
好評発売中!
『日経おとなのOFF』2月号。
特集が、「おとなの品格速習講座」。
「一流の講師陣がとっておきのコツをお教えします」
何を教えてくれるのか。
たとえば、「すし屋の主人から、上客だと太鼓判を押される振る舞い」を教えてくれる。
すし屋の主人から上客だと太鼓判を押されたいと願う男の品格を疑う。
客から、「このすし屋はいい!」と太鼓判を押されたいと願うすし屋の主人の気持ちなら理解できる。
他に教えてくれるのは、真心の贈り方だ。
「この場面、どんな品を、どのように渡すのが効果的?」
そんなこと考える人の品格を疑う。
渡されたことのない者のヒガミか。
朝日新聞書籍欄の、この小さな広告だけで、『日経おとなのOFF』という雑誌の質について速習できる。
いかがわしさ満載ということでは太鼓判ですね。