どろぼうはよくない。
朝日新聞奈良版。
「ゴルフ場の池からゴルフボール285個盗む」
天理署は、二人組みの男を窃盗の疑いで逮捕した。
私は、法律に強くないので、一瞬、これはどろぼうなのかな、と考えてしまった。
法律には強くないが、常識というものはある。
ゴルフ場に侵入したのだから、家宅侵入かなと思ったが、すぐに、ゴルフ場は、法律上の「家宅」にあたるのかな、と考えてしまう。
あんまり考え深すぎるのも考えものだと思って考えるのをやめる。
法律論にこだわらず、一人の人間として考える。
冬のさなかに、ゴルフ場の池からゴルフボールをとるなんて、ご苦労さまなことだな、と思うのが人情というものだろう。
2個3個ならまだしも、285個だ。
たいへんですよ。
どろぼうは悪い、とは言い切れない気がする。
おまけに、この二人組みは、51歳と70歳だ。
なんとなく、しみじみする状況だ。
おまけのおまけに、この二人は、愛知県の人だ。
愛知からわざわざ!
ご苦労さまと、ねぎらいの言葉の一つもかけたくなるというものだ。
記事を途中まで読んで、危うくこの二人の犯罪者を許しそうになった。
しかし、最後まで読んで、許せない!と思った。
ウエットスーツを着て池にもぐり、ボールを集めたのは、70歳の男で、51歳の男は見張り役だったというのだ。
これは許せん!
51歳の男が、ウエットスーツを着て池にもぐるべきでしょう。
鬼のような男だ。
いや、待て。
鬼のような男が、ゴルフ場の池からゴルフボールを盗もうなどと考えるかな。
考えんな。
鬼ではなさそうだ。
鬼でもない男が、71歳の男にウエットスーツを着せて真冬の池にもぐらせて、自分は見張り役に回った。
これは、よほどの事情がありそうだ。
例によって、朝日新聞の記事は中途半端で、その肝心のところが書いてない。
裁判では、それが最大の争点になるだろう。
事情如何によって、厳しい判決が下るか、寛大な裁きとなるかが決まる。