若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

好奇心

新聞の書評で、モンテーニュの『エセー』の新訳が、読みやすいと紹介してあったので買った。

以前、『エセー』をフランス語で読みかけたものの、ちょっと難しいので、翻訳で読んだが、日本語としてこなれていないように思えたので、いい訳が出るのを待っていた、というわけではなく、まるっきり初めてなので、この新訳が読みやすいかどうかは、わかりません。

「第四章:用事は明日に」
プルタルコスの演説を聞いていたルスティクスのもとに、皇帝から手紙が届いた。
ルスティクスは、その場で開かず、演説が終わるのを待っていた。

プルタルコスは、「えらい!」とほめている。
が、それはおかしい、とモンテーニュはいちゃもんをつけている。

急を要する手紙だったらどうするのだ。
プルタルコス自身、シーザーが、暗殺計画に関するメモを渡されたのに、読まなかったという、失敗談を紹介しているではないか。

プルタルコスは、他の例も紹介している。
反乱計画に関する報告書が届いたのに、食事中だったので、「用事は明日に」と言って、取り合わなかったために、滅ぼされたおばかさんの話だ。

モンテーニュは、少なくとも公職にある人間は、あがってくる報告を優先すべきだといっているが、彼の結論としては、多少早くニュースを手に入れたところで、運命を変えることまではできない、ということのようだ。

私みたいに、運命にエンのない男には、関係のない話だ。

モンテーニュは、手紙をすぐ開かないのを、好奇心の無さのせいにしている。
好奇心の反対は、「無頓着」だといっている。

そうかな。
「無頓着」というと、ちょっと高級な感じがする。
「好奇心旺盛」の反対は、ぼーっとしてることではなかろうか。

『知りたがりやのジョージ』という絵本を子供に買ったとき、ちょっと苦しいタイトルだと思った。
子猿のジョージは、「知りたがりや」だろうか。

おもしろいことを探しているというより、何でもがおもしろい。
向こうから押し寄せてくる。

今日、大阪からの帰りの電車。
二両目に乗っていた。
幼稚園くらいの男の子が、お母さんの側を、そーっと離れて、一目散に一両目の方に駆け出した。

ぴんときた。
生駒トンネルに入るのだ。
入るところを、運転席の後ろから見たいのだ。
その気持ちは、よくわかるのだが、なんという気持ちかは、よくわからない。