若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

アトリエ便り3

F夫人を描く。
先週に続いて二回目である。
家内や娘たちをモデルに描くのとは、緊張度がちがう。
他人を描くと、いつも緊張するかというと、そうでもない。

前に、若い娘さんにモデルになってもらった。
すわると、クスクス笑うし、じっと見つめると、ぷっと吹き出したりして、かわいいもんであった。こっちが優位に立っている、という気がする。

Fさんは、落ち着いた中年婦人で、クスクス笑ったりふきだしたりしない。
こっちも緊張するし、彼女も緊張してるし、画家とモデルの火花を散らす真剣勝負、というようなたいそうなもんじゃんないけど、まあ、いい雰囲気である。

私のモデルになってやろうという、Fさんの勇気ある決断に、敬意を表するものである。勇気ある決断というより、知らぬが仏、といったほうがいいのかもしれない。

S君の個展を見た後、飲みながら絵の話をした。
私が、カルチャーセンターで描く絵の出来が、どれも悪いといったら、当たり前だという。
金を払って、そのとき限りの、どこの誰とも知らぬモデルさんに、何度かすわってもらって、いい絵ができるわけない。教室では、人物を描く練習だと思ったほうがいい。

なるほどね。
さすがS先生、いいこと言ってくれます。
「思い」とか「緊張」とかいうようなのが、必要だということか。

今回、心地よい緊張感で描くことができました。
Fさん、ありがとうございました。