朝から、整骨院に行く。
このところ、月に二回、「骨盤調整」のために行く。
行きの電車に、楽しい一団が乗ってきた。
若い三人のお母さんと、子供が九人。
男の子三人と、女の子六人。
一番小さいのは、一つにならない、たぶん男の子で、お母さんに抱っこされてる。
色の白い、丸々太った、重そうな赤ちゃんだ。
一番大きいのは、三年生くらいの女の子で、この子がしきりに赤ちゃんを抱っこしたがっている。
やっと抱かせてもらったと思ったら、すぐにずるずると赤ちゃんが下がり始めた。
かなり重いようだ。
またお母さんが抱き上げた。
この一団には、非常に好感が持てた。
騒がない。
こういう一団が、楽しそうに騒ぐのはしかたのないことで、許せる。
ところが、楽しそうにしているのであるが、騒がない。
こういう一団が楽しそうにしていて騒がないというのは奇跡的だ。
このお母さんたちは、三人とも、男一人女二人の子持ちなのだろうか。
それが聞けない、相変わらず気弱な私である。
整骨院で。
院長他、五人の男性スタッフが居る。
今日は、その最年長の人が私の担当になった。
足の屈伸から始まるのだが、おや?と思った。
いつもより、かなり気合が入っている。
非常に念入りというか、これまで一年通っているが、今までにない「骨盤矯正にかける意気込み」を感じた。
なにかあったのだろうか。
「きのう、ウチのスタッフの試験がありましてね」
この整骨院は、大阪に十二の診療所がある。
その全スタッフの中から三十数人が実技試験を受けたらしい。
「優勝しちゃったんですよ」
なるほど!
気合がちがうはずですね。
帰りの電車。
おじいちゃんと、二年生くらいの女の子。
女の子は、東京駅でお父さんに新幹線に乗せてもらって、奈良のおじいちゃんが新大阪駅までむかえに行ったようだ。
新幹線では、隣のお姉さんと色々おしゃべりして楽しかった。
「そうかそうか、それはいいお勉強ができたね」
「ちーちゃん、あのお山を越えたら奈良だよ」
「ここは?」
「ここは大阪」
「大阪市?」
「大阪市じゃない。大阪府。大阪府大阪市。奈良県奈良市。広島県広島市」
「どうして府?」
「どうしてかなあ。京都府も府だね。京都府京都市。北海道は道だね」
「北海道北海市」
「いや、北海道は札幌市」
「どうして?」
「どうしてかなあ」