ドイツ映画。
家内に誘われて見に行った。
「囚われた天才ピアニストに、残された人生を賭ける女教師。二つの魂の美しき共鳴から生まれた衝撃の感動作」
ウソですよ。
ハリウッドの、宇宙人襲来!地球危機一髪映画的しょーもなさであった。
囚われた天才ピアニスト、というと、山賊か海賊に捕まって幽閉されてるべっぴんさんみたいですが、ちがうんです。
バラバラ殺人の凶悪犯で服役中なんです。
しかも、彼女は真犯人ではなく、恋人をかばって身代わりに服役中らしいという、ドイツ裁判制度をコケにしたような設定になっとります。
カタイことをいいなさんな、お話を楽しみましょう、ということになれば、メインになるストーリーは、かつてはそこそこ有名であったらしい女性ピアニストが、どういうわけか刑務所で囚人にピアノを教えてたら、元天才少女であったところの凶悪犯身代わり服役中の女に出会って、その才能にほれこんでコンクールを目指すという、まあ、単純極まりないしょーもない話です、といって笑って許すこともできる。
ところが、許せないのは、この単純極まりないしょーもない話に、思わせぶりで、深刻そうで、意味がありそでうっふん、なさそでうっふん、♪ほらほーら黄色いさくらんぼ、なんでここでワシがこんな古い歌歌わんならんのじゃ!的エピソードを並べ立てるものだから、単なるしょーもない映画が、わけのわからん一見複雑的しょーもない映画に成り上がっているからである。
ナチス、共産主義者、同性愛、幼児虐待。
調味料がわりに使うなよ、と申し上げたい。
最後は、もちろんというか、なんでやねんというか、コンテスト決勝である。
決勝に出場するために、脱獄するんです。
ドイツ刑務所をコケにする設定である。
脱獄騒ぎを起こして、会場にたどり着けるのか、とご心配の皆様、これができるんですな。
決勝のステージで、元天才今囚人女性が、オリジナル即興現代曲を狂ったように弾きまくるんですな。
監督は、ここで感動してほしいのだと思う。
弾きまくってる最中に、脱獄発覚後、どこかで時間をつぶしていたとしか思えないベルリン中のパトカーが、コンサートホールに到着して取り囲むんですな。
ドイツ警察をコケにするような設定である。
元天才少女一人を、数十人の警官が取り囲むという、銭形平次捕り物帖大団円みたいな感じで終わります。
なんじゃこれは。