若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ドビー・ギリス

何日か前の新聞に、ロバート・スタックの死亡記事が出ていた。
四十数年前人気のあったテレビ番組、「アンタッチャブル」で、エリオット・ネスの役をしていた人である。

禁酒法時代の話で、番組のタイトルが出る場面は、FBIが密造酒の貯蔵所を急襲するところであった。
先頭のエリオット・ネスが、斧を振りかざして密造酒の樽を一撃!
樽から吹き出す酒!
かっこいい!
そこで、「THE UNTOUCHABLES!」という、これまたかっこいいナレーション。
この、「ズィー アーン タッチャボー!」にしびれましたね。

同じ頃、「ドビーの青春」という番組も好きだった。
ドビー・ギリスという、どこにでもいそうな高校生が主人公の青春ドラマであった。
舞台は、ニューヨークのごみごみした下町で、ドビーの家は、頑固なお父さんと、優しいお母さんが忙しく働く洗濯屋さんだった。

この設定が新鮮だった。
当時のアメリカのテレビドラマというと、郊外の白い家、芝生の庭、巨大冷蔵庫、いつも背広を着た父親、いつもきれいな服を着た母親が出てくるのだった。

「夢のような世界」であった。
「ドビーの青春」を見たとき、私は、日本と似てる、と思ったが、当時のアメリカの人たちにとっても、テレビドラマの世界は「夢のような世界」だったのかな?

ドビーの親友、メイナードというのは、「ビート族」であった。
「反体制派」というのか、いつもボロボロの服を着ていた。
金持ちの息子で、イヤミな感じの、○○ジュニアという友達もいた。

昔は、放送中に音声や画像が途切れたりすることがよくあった。
「しばらくお待ちください」という字幕がエンエンと出るのである。

あるとき、日本語音声が途切れた。
ドビーの父親が、メイナードを呼ぶ場面であった。
「メイナード!」というとき、「メ」にものすごくアクセントがついているのが印象的であった。

ドビーの高校で、理科の実験の授業を映画にとることになった。
ドビーが、せりふを割り当てられた。
実験室で隣の席の女の子に
「ブンゼン灯を取ってくれない?」
と言うのである。

この、「ブンゼン灯を取ってくれない?」というせりふを、ドビーは何度も練習するのであった。

私の脳に聞きたい。
こんなしょーもないことを、なぜ四十数年も大事に保存しているのだ?