きのうは散髪に行った。
私の隣の客は、腎臓が悪くて、六年間透析をした。
だんだん悪くなって、腎臓移植を考えた。
奥さんに頼んだら、イヤだといわれた。
私に、「あんたも奥さんに言うてみ。断られるで」
「いや、ウチはだいじょうぶやと思います」
「そう思うやろ。ワシもそう思たがな。それが、いざとなると、わからんもんやで」
あきらめていたら、息子が提供するという。
まさか、人生これからの若い者の腎臓をもらうわけにはいかないと断ったが、どうしてもという。
「どついて育てたみたいな息子やのに」と感激していたら、奥さんが、それなら私が提供すると言い出した。
「ワシより息子が大事いうことや」
めでたく奥さん提供の腎臓を移植したそうです。
駅前で昼食。
隣の席の若い男女。
中国人やベトナム人を使っている会社のようだ。
無断外泊を繰り返しているベトナム人労働者に困っている。
同じベトナム人でも、ドンちゃんは、まじめで正義感も強い。
「ああ、ドンちゃんはいい」
「ドンちゃん、いいですよね」
「うん、ドンちゃんはいい」
二人で、ドンちゃんのことで盛り上がっている。
これがホントの、ドンちゃん騒ぎだ。
銀行へ行く。
すわって待ってたら、隣に、よちよち歩きの男の子とママ。
色白のプクプクの可愛い子だ。
見とれてたら、ママさんが私を見た。
「ウチの子、かわいいでしょ」的視線である。
「お宅のお子さん、可愛いです」的視線で見返す。
そこに、おじいちゃんがやってきた。
おじいちゃんと言っても、私と同じくらいですよ。
男の子は、ますます喜んで、よたよた歩き回る。
さーっと駆け出した。
ママさんが追っかける。
男の子は、おじいちゃんに手を振った。
ママさんは、背中をこっちに向けてしゃがみこんでいる。
可愛いなあと思って見ていたら、おじいちゃんが私を見ている。
「ウチの孫、可愛いでしょ」的視線だ。
「お宅のお孫さん、可愛いです」的視線を返す。
と、おじいちゃんがママさんのところに走っていった。
何をしてるのかと思ったら、ママさんのTシャツとジーンズの間が、ぱっくり開いて、背中と下着が見えている。
おじいちゃんは、Tシャツを一生懸命引っ張っていたのだ。
せっかく男の子を見ていたのに、目をそらせるしかないではないか。
全国のママさん、背中出すな!