テレビで、「中学生相撲大会」を見た。
中学生とは思えない体格というか、体型である。
顔も、お相撲さん顔である。
マワシを締めて、堂々たるものだが、「行司」のいでたちがイタイと思った。
白シャツ白ズボン白靴下白手袋蝶ネクタイ。
プロレスかボクシングのレフェリーみたいだ。
子供のころ、テレビのプロレスに熱中した。
「オキ・シキナ」さんというレフェリーが、こんな格好をしていた。
三菱電機の提供だった。
電気掃除機のCMをおぼえている。
音が静かだと強調していた。
画面に、布団で寝ている人が写る。
どういうわけか、その枕元で掃除機をかける。
音がほとんどしない。
はー、電気掃除機というのは、静かなもんだなあと思った。
しばらくして、電気掃除機を買った。
喜んで使った私は驚いた。
「ブオーーーッ!」
すごい音!
テレビCMはうそをつくのかと驚いた。
何の話か。
中学生相撲だ。
子供のころ、大阪府立体育館に父と学生相撲を見に行ったことがある。
人影まばらな寒い観客席で、学生相撲を見た。
なぜ見に行ったかは、おぼえてない。
えー、中学生相撲です。
三回戦から見た。
静岡代表の小柄な子が勝った。
勝った瞬間、「ウオー!やったー!」と奇声をあげて、観客席に向かってガッツポーズしながら、土俵をぴょんぴょん飛び跳ねた。
苦々しい。
いくら中学生男子とはいえ、国技ですぞ。
他の子は、いかにもお相撲さんらしく、堂々としているのに、なんですか。
指導者は、何をしているのか。
4回戦も、その子は勝った瞬間、ウオー!と叫んで観客席に向かって腕を振り上げてぴょんぴょん飛び跳ねた。
準々決勝、大人気ないとは思いつつ、その子が負けますようにと祈ったが、私の大人気ない祈りが通じるはずもなく、その子が勝って、また雄たけびを上げて飛び跳ねた。
見かねた役員が注意したようだ。
当然でしょう。
準決勝もその子が勝ったが、雄たけびと飛び跳ねは自粛した。
決勝の相手は、少し前の都道府県大会で優勝した大本命で、体の大きさ、顔つきからして大人と子供である。
この生意気な子を投げ飛ばしてやれ!という私の大人気ない願いを裏切って、本命の完敗であった。
優勝だ、心の広いところを見せて、飛び跳ねても許そうと、待ち構えていたのに飛び跳ねなかった。
裏切られっぱなしの中学生相撲大会であった。