若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『やさしい人物画』

アンドリュー・ルーミス著『やさしい人物画』と『やさしい顔と手の描き方』を買った。

アマゾンの古本で買ったが、両方ともまっさらでした。(^o^)/

魅力的なタイトルである。
いかがわしいと言ってもいい。

アンドリュー・ルーミスは、いかがわしいタイトルの本を二冊も書いた、と思うのは素人の浅はかさ。
原題には「やさしい」とはどこにも書いてない。

そんなタイトルをつけた出版社の勝ち、タイトルにつられて買った私の負け、とも言えるが、いい本だったので引き分け。

今年、人物画を描き始めたころ、簡単にうまくなる方法はないものかと目を皿のようにして探していてこれを見つけ、やった!と危うく飛びつきそうになったが、良識ある大人としてそのときはなんとか踏みとどまったものの、半年間悪戦苦闘、描き続けてみて、こらえきれずに手を出したというのが、ぶっちゃけた話である。

『やさしい人物画』の方は、1943年、アメリカで出版され、日本では1976年第一刷、2002年第71刷というのだから、堂々たるロングセラー、古典的名著と言っていい。

著者は、戦前のアメリカ商業美術の世界で成功を収めた人で、残念ながら油絵画家ではなかった。
イラストレーターとして食って行きたいと考えている若者のために書かれた本だ。

とはいえ、人物を描くということでは、イラストも油絵も共通するところは多い。
解剖学的知識も重要だと書いてある。

「手をうまく描けるようになる秘訣はただ一つ。描きまくることだ」という、至極当然というか身もふたもないというか、心から納得できることがたくさん書いてあって、納得しつつも物足りなかったのも事実である。

売り込み方も具体的に書いてある。
作品見本を、出版社や代理店に郵送する。
漫画なら、専門の通信社にとか、アメリカ特有と思えることも多い。

作品見本として、かっこいい男女を描け。
ふっくらしたおばあさんは誰にも好かれる。
映画俳優の似顔絵は、皆見飽きているからやめたほうがいい。

著者が描いた作例がたくさんのせてある。
老若男女赤ちゃんに至るまで、すべて、古きよきアメリカ!という感じの人物である。

この本は、アメリカのある時代を感じさせるし、アメリカも時代も超えたところもあるし、読んでうまくなるかどうかはわからんが、いい本だと思いました。