若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

競馬必勝法

きのうはM君と飲む。
年何度かいっしょに飲んでいる気がするが、じっと胸に手を当てて考えてみると、一回か二回だ。
まあ、考えるほどのことでもないけど。

約束の店に私が先について、ビールを飲んでたら、隣に、70代と思える二人組みの男性が座った。
久しぶりに出会った学生時代の友達という感じだ。
十年後のM君と私みたいな気がした。

M君が来るまで、二人のおしゃべりをサカナにビールを飲むとしよう。
一人が主導権を持って積極的にしゃべり、もう一人がぼそぼそと答える。

「元気にしてるんか」
「・・・まあ」
「そら結構や。ワシら病院通いで、こんなとこまで出てきてるんや。毎日、何してるん?」
「・・・」
「なんかせなあかんで。彼女、おるんか」
「そんなもん・・・。もうあかんがな」
「いや、そんなん関係ないがな。彼女作れよ。こないだ・・・」
と、ここで急に声をひそめたので、続きは不明。

「ゴルフはしてるんか?」
「いや、一人ででけんからなあ。一人でできるのがええな。絵は描いてるんか」
「絵はやめた。油絵から水彩に変えたりしたけど、今は描いてない。株、やってるねん。株は一人でできるで。株やれよ」
「あれはバクチや」
「株は、週五日楽しめるで。同じバクチでも、競馬は週二日や」
「競馬、まだやってるんか」
「やってる。毎回勝ってる。この前も一万円。まあ、小遣いていどやけどな。絶対勝てるねん」
「バクチはあかん」
「いや、絶対勝てるねん。方法があるねん。ついて来るか?必ず勝てるで。いっしょに買えよ」
「・・・十年ほど前やったかなあ。いっしょに行ったがな。必ず勝てる言うて。・・・あかんかったがな」
「うっ・・・まあ・・・十年前と今はちがうわい」

口のへらんおやじだ。
このおやじに勝るとも劣らん口のへらないM君がやってきて、おとなしい私相手に怪気炎を上げてくだを巻くのに付き合っていたのであった。