若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

悩むボーカル

きのう書いた、ボーカル科の青年は、ぽっちゃりというか、でっぷりというか、片岡鶴太郎的雰囲気の人だった。

「ビー・ブルー」という曲を、私たちギター初心者のために超低速で、のたうちながら歌ってくれた。
いい人だと思った。
高音が出るし、歌も下手ではない。

彼には悩みがあった。
ロックバンドで歌いたいのに、なかなか加入できないという。

エレキギターを習い始めて間もなかった私は、アマチュアバンドのことは全然知らなかった。
バンドに参加するにはどうするのか。
雑誌や、楽器店に、「バンドメンバー募集」の告知があるのだという。
それを見て申し込む。

何度も応募したがダメだった。
「バンド優先でやります!誠意見せます!って、いうんですけどねえ・・・」

苦悶の表情を浮かべていた。
ぽっちゃり体型が災いしているのではないかと思った。

長年習っていると、いろんな若者と出会う。
二、三年、「爆音二青年」といっしょのレッスンだったことがある。
レッスンで、二人が爆音を出す。
こっちは大変ですよ。

尊師には、爆音青年の気持ちがわかるのだろう、小さくしろとはいわない。
一人は、外資系会計事務所に勤める「一見温厚なエリートサラリーマン」風の若者だった。
にっこり笑って人を切る、というのがあるが、にっこり笑って爆音だ。

レッスンのとき、ふつうは自分の音を聞くために、アンプを自分に向ける。
ところが、あるとき、この若者がアンプを尊師に向けたことがある。

ヘタな爆音攻撃にも尊師は苦笑を浮かべるだけであった。
若いころ、尊師も爆音で多大の迷惑をかけたことがあるのだ。
家で練習していて、おばあちゃんに水を掛けられた話を聞いたことがある。