きのうは、久しぶりの乗馬。
ロサンゼルスに行ったので、二週間乗らなかった。
二週間あいたら、足が痛かった。
石膏デッサンも二週間あいたら、腕がだるかった。
週に一度でも、続けるというのはえらいもんですね。
額縁を買いに行った。
いつものおにいちゃんは配達に出ていていなかった。
おかみさんは、奥で銀行員と話し込んでいた。
私に気づいたオヤジが、気乗りのしない様子で出てきた。
このところ、額縁を買うときは、おかみさんか、おにいちゃんのどちらかであった。
この店の三人とも、「芸術とは関係おません!」という顔をしているが、オヤジが一番関係なさそうな顔だ。
オヤジが、どんな絵ですか?と聞くので、人物と答える。
「はあ、人物?肖像画でっか?どんな感じでっか?厚塗りでっか?バックはどんな色でっか?」
矢継ぎ早に質問する。
商売熱心な額縁の専門家、という感じである。
そうは見えませんが。
「肖像画やったら、金縁か、マホガニーとか黒檀でっかなあ。バックはどんな色でっか?レンブラントやベラスケスの人物画は、バックが黒いでっしゃろ?ああいう感じやと、黒檀みたいな黒っぽい額が合うんですけどなあ。レンブラントやベラスケスの額は、黒っぽいのが多いでっしゃろ?」
い、いや、レンブラントやベラスケスを引き合いに出して検討していただくほどの絵ではございません。
オヤジに、私の絵は、レンブラントやベラスケスとはちがう画風であることを説明して、金の額縁にしようとしたが、オヤジは、絵を持ってきてほしい、絵を見ないとどの額がいいか難しい、実物を見て決めてやるという。
そこまでしてもらわなくてもいいです。
いいのですが、オヤジがせっかくレンブラントやベラスケスまでかつぎ出して、そこまで言ってくれてるのに、適当に決めてしまうのも悪いから、熱心かつ親切な申し出に甘えて、絵を見せて決めてもらうことにした。
どんな額縁になるか、楽しみである、というほどのことはない、お手ごろな価格の額縁をそろえた店なのである。
しかし、そのお手ごろな価格の額縁の中でも、私の絵にぴったりの額縁を選んでやろうという心意気が、うれしいようなちょっと迷惑なような、まあ、よくわからんままに、手ぶらで帰って来ました。