今日は、人物画教室の帰り、難波地下街の食堂で昼食。
「ニューヨーク着は・・・」という声が聞こえました。
向かいの席の80代と思える女性二人組です。
「ニューヨーク着は・・・×時やから、その日はホテルでマンハッタンの夜景見物やて」
「マンハッタンの夜景見物・・・いいねえ。主人は、ウォール街を歩いたて言ってたわ」
「でも、9.11とか思い出すと心配やねえ」
「だいじょうぶよ」
ほほ〜、アメリカ旅行か、元気ですねえと思ってたら、「ハイチって地震のあったとことちがうの?」
「だいじょうぶよ。洋上だからだいじょうぶよ」
「だいじょうぶかなあ」
「3000人乗りだからだいじょうぶよ」
「3000人乗りの船なら地震来てもだいじょうぶかな」
「だいじょうぶよ。こっちのほうが高いけど」
カリブ海クルーズの話になりました。
私に背を向けた女性がしきりに心配して、私に顔を向けた女性が、「だいじょうぶよ」というコンビのようです。
「中欧ってどこ?」
「・・・昔の共産圏」
「昔の共産圏?・・・旅行社の人は、ここは陽気が良くなってからにしたらって言うてはったね」
「そうそう、急ぐことないわ。気候がよくなってからでもね」
「バルト三国みたいなとこ?」
「よかったねえ!バルト三国!」
見ると、テーブルの上には、新聞の切り抜きやパンフレットが山積みです。
何か探してたんでしょうが、パンフレットなどが、ざ〜っとテーブルから滑り落ちました。
「あらあら大変!パンフレットだからいいようなものの、大事なものだったら大変だわ。あなたよくそういうことするわね。大事なものがまぎれたり、なくなったりしたらどうするの」
「だいじょうぶよ。その時はその時よ」
「あなたいいわねえ。私なんか、いつまでもくよくよする方だから」
パンフレットを拾い上げてるなと思ったら、「あ!ここ、行ったわね」
「行ったね。こっちに橋がかかってて、こっちがノートルダムだったかな」
「あ、ここも行ったわね」
「行った行った。要のとこはおさえてるわね」
そ、そうですか。
カナメのとこはおさえてますか。
「このおまんじゅう、おいしいのよ」
え!
突然まんじゅう!?
見ると、拾い上げたパンフレットの上にいつの間にかまんじゅうが・・・。
その後の展開を気にしながらも、天丼を食べ終えた私は席を立ったのであった。