若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

C.V.WEDGWOOD『THE KING'S WAR」』

ウエッジウッド女史の「清教徒革命3部作」第2部、『王の戦争』を読みました。

先日読んだのは、第1部『王の平和』で、国王チャールズ1世が、「私は、キリスト教世界で最も幸せな国王である」と豪語したころの話です。
まあ、豪語したというより、ノーテンキなことを口走ったという感じですが。

この王様は、自分の置かれた状況がよくわかってなかった。
それも当然で、この人は、自分がイギリスの王様になったのは神の意志であると心から信じてたんですね。
自分は、神の意志に従って、国民の幸せを願って一生懸命がんばってるのだから、まともな国民なら、自分に感謝してくれるのが当然だと思ってた。

アタマがおかしいのかというと、そうでもない。
当時、こういう人は多かった。
今もか?

チャールズ1世を倒して、首をちょんぎることになる議会軍の指導者クロムウエルもこういう人だった。
クロムウエルが何を考えてたかはよくわからんそうです。

「すべて神のご意志にまかせよう」というような人だったみたいです。
何かと言うと、祈りを捧げて神のお告げを待つ。
で、うまい具合にお告げがあるんですな。
で、そのお告げのとおりに行動したようです。

チャールズ1世、クロムウエル、神のお告げに従う同士が戦ったのだから大変ですね。
今もか?

5年に渡る内戦を事細かく書いてある。
戦いの場所、布陣、天候に至るまで、詳細に書いてあるから、英語力のある人には、鮮やかに目に見えるようだろうと思うとうらやましいです。
私には、ぼんやりと分かる程度です。

この時代、ヨーロッパでは、職業軍人が活躍するんですね。
「戦争屋さん」です。
戦争があると聞くと、ドイツでも、オランダでも、スペインでも、どこにでも行く。
今もか?

この内戦の最中、ある戦争屋さんが、「うまくすると、この戦争はあと20年続くぞ」と言ってます。
困ったもんです。

20年は続かなかったけど、内戦は悲惨ですね。
王様が負けて、平和が戻ったけど、国内は荒れ果てている。
秩序は乱れきっている。

しかし、その悲惨な状況は、人間の手で立て直せるものであって、イギリス人は新しい時代を作るため奮闘を始めたのである、というのが著者の結びの言葉です。

600ページも、戦争にまつわる悲惨な話をエンエンと書いてきて、最後の1ページで希望を語るというのは、なかなかの腕前だと感心しました。