兜の緒を締めたことなんかあるかな。
ないような気がします。
今日は、朝から雨模様だったので、ゆうちゃんを幼稚園に送っていきました。
ときどき、家内か私が送っていきます。
そういうときにつらいのは、私の顔を見たゆうちゃんが、いかにもがっかりという表情で、「あ〜あ、おばあちゃんの方がよかったのに・・・」と言うときですね。
これはつらい。
で、今日はそう言われないよう準備をしていきました。
ゆうちゃんが新聞紙で作った兜をかぶって行ったんです。
きのう、ウチで作って置いていったんです。
兜をかぶった私を見てゆうちゃんの顔がぱっと輝きました。
「おじいちゃん!兜かぶって来たん?!」
「そう!ゆうちゃんが作った兜かぶって来た!かっこいいでしょ!」
「かっこいい!街の人はなんて言うてた?」
マ、マ、街の人???
「街の人も、みんな、かっこいいですね〜!て言ってたよ」
満足そうであった。
その時、兜が私の頭からするっとすべり落ちた。
ゆうちゃんは、「ゴムをつけんとあかんな」と言いました。
「長いゴムがいるなあ。・・・セロテープでくっつけよか」
「セ、セロテープ!はがす時痛いよ」
「だいじょうぶ。そ〜っとはがせばいいやん。ばんそうこうといっしょやで」
そう言うと、ゆうちゃんはセロテープを持ってきて、兜を私にペタペタと貼り付けた。
おでこや、ほっぺたや、耳や、首筋に、念には念を入れて、ペタペタペタペタセロテープで貼り付けた。
「これでだいじょうぶ!」
ゆうちゃんに兜の緒を締めてもらった私は、さっそうと幼稚園まで送って行ったのであった。
頭に兜、顔面セロテープだらけの私を見た街の人が何と言ってたか知りません。