小学4年生のゆうちゃんと1年生のあきらくん兄弟が「野球」を楽しんでるらしい。
二人でボールを投げて打って捕って、ゆうちゃんがあれこれ指導してるようです。
40年ほど前のことを思い出しました。
ゆうちゃんあきらくんのママがヨチヨチ歩きだったころよく近所の原っぱに行きました。
クローバーが咲いててママが喜んでました。
小学高学年と思える男の子が二人、バットとグローブを持ってやってきました。
私が子供のころから住んでた所ですが、ずっと空き地で私たちもよく野球をした空き地です。
そうそう、その空き地にそれからしばらくして『玉姫電』という結婚式場が建ったんです。
なんの変哲もない住宅地になぜ『玉姫殿』というインパクト満点の結婚式場が?
地名でございます。
「東大阪市新喜多」!
「新しい喜びが多い」!
結婚式場にふさわしい地名だ!と言われればそんな気がしないでもないかなあという感じですが、『玉姫殿』の人は「これだ!」と思ったみたい。
披露宴での新婦の叔父さんのあいさつなんかで繰り返されたと思います。
「さて、この式場が建っているのは新喜多というところだと伺っております。若いお二人の門出を祝うのにまことにふさわしい地名だと存じます。お二人の行く手に新しい喜びの多からんことを祈念いたしまして私のお祝いの言葉とさせていただきます」
叔父さんうまいこと言うなあとなごむ出席者と、「またか」とあくびする式場スタッフの顔が目に浮かぶようです。
この10年後、東大阪市の住居表示変更によってこの「新喜多1丁目」が「出戻り1丁目」になって大騒ぎというなら楽しい話なんですが、そんなおもしろい話はないもんですね。
さて原っぱです。
体の大きい子がバットを持って、小さいほうの子がグローブを持って距離を取った。
大きい子が打つとボールは大きなフライになってかなり左に飛んだ。
グローブを持った子がとことこ駆け出すと打った子が叫んだ。
「走れ!だらだらするな!打った瞬間に走るんや!見てから走ってたら遅い!」
きびしい。
二回目。
打ちそこなってボールはコロコロと転がった。
またとことこ駆け寄るとまた大声で叫んだ。
「ダッシュダッシュ!つっこめつっこめ!当たりそこないはダッシュせんとアウトにでけへんぞ!」
はは~ん、この子が上級者でいろいろ教えてやってるんだな。
その後も一打ごとに、叱咤激励というか愛の鞭というか無理難題の言いたい放題。
言われた方は一切反論なし。
言いたい放題の言われっぱなし。
しばらくして選手交代。
小さな方の子が打つと大きなフライがかなり左方向に飛んだ。
打った瞬間走り出すかと思ったら走り出さなかった。
その場に仁王立ちになって口をとんがらせて「まっすぐ打てや!」と叫んだ。
文句を言いながら拾いに行った。
二打目、打ちそこなったボールがころころ転がった。
猛然とダッシュするかと思ったらしなかった。
突っ立ったまま、「ちゃんと打てや!」とどなってボールを拾いに行かなかった。
その後も一打ごとに、叱咤激励というか愛の鞭というか無理難題の言いたい放題。
言われた方は一切反論なし。
言いたい放題の言われっぱなし。
あれから40年、あの子たちも50過ぎか。
どうしてるかな。