「結婚前は母親が選んだ服を着て、結婚してからは奥さんが選んだのを着る男をおじさんという」という記事を昔読みました。
私のことだ!と感心した。
ファッションセンスのない私から見てファッションセンスのある男は少ない。
身近では妹の主人くらいかな。
電車通勤してる時、駅で「おしゃれだな」と思う人は一人だけでした。
同じ背広姿だけどなんかちがう。
休日に見かけてもすかっとしてる。
一度夏にその人を見かけてあれっと思ったことがある。
カッコいいアロハ姿なんですが足元を見たら480円くらいと思えるビニールのサンダル。
この人が480円のサンダルということはないと思ったけど、値段を聞けない気の弱い私であった。
自治会長になった時、奈良市主催の自治会長向け講習会があって講師の一人がファッションに注意しなさいと言いました。
女性はファッションにうるさい。
「会長さん、前と同じシャツ着てる」などとチェックされる。
それ以来、役員会、班長会のとき前と同じシャツじゃないかと非常に気になって困った。
朝日カルチャーセンターの人物画教室に通ってた時、二十数人のメンバー中、男は二人でした。
もう一人は私より年上のNさんという温厚篤実な方でした。
Nさんがお休みの時があって、私が「Nさんお休みですね」と言ったら先輩女性が「そうみたい」と言った。
「Nさんね、ベンツに乗ってきてはるんですよ。ベンツに乗ってるのにシャツの袖、擦り切れてるの」
他の女性が「ジャケットの裏地もやぶれてるし」
あわててシャツの袖とジャケットの裏地を確認しました。
乗馬を始めた時も男女のちがいを感じました。
女性は乗馬ファッションを楽しんでる。
男はゴルフで着古したのを着てるという人が多い。
私はちがいますよ。
ゴルフをしないから普段着の着古したのを着てる。
男の中でも目立ったのは私よりいくつか上のYさん。
某国立大学教授で、学会で海外に行った時は馬にも乗るそうです。
Yさんはどう見ても着古したゴルフウエアというより着古した野良着という感じでした。
煮しめたような野良着といった方がいいかもしれない
不思議だったのは、乗馬で着古した野良着はまだわかるとしてふだんも着古した野良着みたいなんです。
乗り終わって着替えてもいっしょ。
外見を気にしない人なんだなあと感心してました。
で、ある時更衣室でYさんが、「私はファッションは生き方だと思ってるんです」と言った時、一瞬何を言ってるのかわからなかった。
で、一瞬間をおいてこけそうになった。
着古した野良着みたいな生き方とは?
改めて見直したけどどう見ても着古した野良着で、じっと見てるとにおいが漂ってきそうであった。
殺虫剤、除草剤、石灰ボルドー系のにおい。
黙ってるわけにもいかんので「どこで買うんですか」と聞いたらよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに「ネットです!ネットでさがしまわってるんです!」
さがしまわってこれかいな。
着古した野良着から着古した野良着に着替えたYさんは「豆腐、買って帰ります。この近くにうまい豆腐屋があるんですよ」と言ってさっそうと更衣室を出て行ったのであった。
ファッションもむずかしいし生き方もむずかしいし豆腐選びもむずかしいと思ったのであった。