ふと頭に浮かぶことがあります。
「おとうちゃんはな、毎日〇ポンドのアイロン振り回して・・・」
子供のころ見たテレビ番組のせりふです。
洗濯屋さんが舞台で、お父ちゃんが子供に説教したときのセリフです。
このせりふと、お父ちゃん役が浮世亭歌楽、子供役が頭師孝雄ということだけおぼえてる。
調べました。
番組は京阪電車提供の『泣きべそ天使』のようです。
1958年から204回放送ということなので結構人気があったみたい。
頭士孝雄も私も12歳。
浮世亭歌楽は漫才の人で、頭師孝雄は「天才子役」として評判だった。
小学校から「文部省特選:つづり方兄妹」(1958)という映画を見に行ったら頭士孝雄が出てました。
この映画もひとつだけおぼえてます。
映画のはじめに頭士孝雄が「ぼくの住んでる枚方は大阪のおへそみたいなとこです」というんです。
「おへそみたいな町ってどんなとこや?」と思ったことを65年おぼえてる。
「おとうちゃんはな・・・」も65年おぼえてるんですが、これは「何ポンドのアイロン」というのが子供心にひっかかったんだと思います。
当時はまだ「貫」とか「匁(もんめ)」という言い方が生きてて、近所の大人から「鹿之助ちゃん、今何貫目や?」と聞かれたもんです。
「ポンド」はボクシングの選手の体重で使いましたけど「ポンド」と言わずに「パウンド」と言ってた。
「ポンド」自体が新鮮だったしアイロンとの結びつきに意表を突かれたんでしょう。
ネットで調べてたら、大正2年創業高級紳士服の仕立て屋さんのブログが出てきた。
思い出を語っておられる中に「アイロンの重さは7ポンド、仕上げ用は10ポンドでした」と書いてあった。
約3キロと4.5キロです。
「漬物石のかわりに使ってるのを見たことがある」とも書かれてました。
洗濯屋のおとうちゃんのアイロンは説教に持ち出すくらいだから10ポンドと見た。
65年の時を経ておとうちゃんのアイロンの謎が今日解けました。