若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

シルクロードの旅人必携の辞典

朝刊より。

先日、「狂犬病予防注射無用論」を紹介したところであるが、今朝は、それに対する反論が掲載されていた。
イギリスやオーストラリアが、予防注射を重視していないのは、日本と違って、海外からの動物の持込を厳しく取り締まっているからだということである。
筆者は、「人獣共通感染症学」の専門家であった。

小学館の辞典の広告。
「日中辞典」 これは、朝とか夜中のことではなくて、日中のことを調べる時に使う辞典である。
「中日辞典」 これは、中日ドラゴンズのすべてがわかる辞典である。

他に「仏和辞典」「露和辞典」の宣伝。
その横に「伊和中辞典」
「アリデベルチ=さようなら=再見」というような辞典である。
こういう、イタリア語、日本語、中国語、三カ国語ちゃんぽん辞典は珍しいと思われるであろう。

しかし、この辞典の歴史は古い。
奈良時代、ローマから唐の都長安に通じる道があり、シルクロードと呼ばれて東西を結ぶ重要な交易路であった。
当時の長安は、国際的な大都市であり、世界各国の商人でにぎわった。その長安を経て、西域の珍しい品々が、大和に伝えられ、現在も正倉院に保存されている。
つまり、当時の国際的商取引において、イタリア語、中国語はどうしても必要な言語なのであった。

そこで、聖武天皇が、大仏建立計画と同時に立ち上げたプロジェクトが、「伊和中辞典」の編纂であった。
私は、文化史的観点からすれば、聖武天皇の業績としては、大仏建立よりも、「伊和中辞典」の編纂の方が意義があると考えている。

ここまで書いてきて、細部に誤りがあってはならないと思い、小学館辞典事業部に、「伊和中辞典」について問い合わせてみたところ、これは、イタリア語、日本語、中国語、三カ国ちゃんぽん辞典ではなくて、イタリア語と日本語の、中くらいの辞典という意味であるとの丁寧な返答をいただいた。

私の学説は崩れ去ったのである。遺憾である。

では、なぜ、「日」と「和」があるのか?
日仏協会があるのだから、日仏辞典でよいのではないか。日露戦争、日露友好の家というのだから、日露辞典でよいのではないか。

たぶん、何の意味もなく、なんとなく使っているのであろう。
辞典業界の人!そんなことではだめだぞ!