久しぶりで、謎のギタリストを見る。
初めて見たのは去年の夏でした。
朝、電車を待ってる時、向かい側のホームのベンチに、フォークギターを持って座ってるおじさんを発見。
私と同年輩の、普通のサラリーマン風の顔でした。白いポロシャツと紺の短パンで、素足にスニーカーというカジュアルなファッションが結構きまってました。
フォークギターを抱えて、チューニングの最中という感じです。
なんとなく、うまそうな気配が感じられる。年のせいでしょう。「ベテランギタリスト」に見えてしまいます。
私は、発表会などで、はじめて他のメンバーと顔を合わせる時がキライです。
トシのせいで、うまそうに見えてるのじゃないか、「激シブブルースギタリスト」「ひきまくりおじさん」なんて思われてるのじゃないか、と心配になるからです。
はじめ、若者たちは、私に近づきませんよ。
「恐れられている!」と、はっきりわかる。
で、私は、「うまくないのだ」ということを示すため、ポカンと口をあけたり、白目をむいたりして、色々苦労する。
しかし、一度でもギターを弾けば、そういう苦労は必要なくなります。
「なーんだ」という若者たちの態度。
「なめられてる!」と、はっきりわかる。
で、この、駅のギタリストも、うまそうには見えるけれど、本当はどうか?
早く弾いてほしい、と思うけれど、実に悠々とチューニングを続けるのです。
それがまた、「うまいんじゃないか」という期待を高めますね。
この人、私をじらせてるのじゃないかと思う。
それにしても、ギターケースがないなあ、などと思ってるうちに電車が来てしまって、腕前を確認することが出来なかった。
その後も同じようなことがありました。
今朝は、その人がこちらのホームにいた。
片手にフォークギター、片手にワンカップ大関を持って立っている。
ギターは相変わらずケースなし。
どうするのかなと思って見ていると、その人は、座席指定の特急に乗り込んでいった。
謎である。