若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

壇浦兜軍記

新聞のテレビ番組欄。
今夜、教育テレビで、歌舞伎「壇浦兜軍記」を放映する。
これは一度見たいと思っていた。

私がエレキギターを習いはじめた時、教室は「あこや楽器店」にあった。
変わった名前である。
店の人に聞いたら、「今はピアノなんか置いてますが、昔は和楽器の専門店だったということなんで・・・そのへんと関係あるんですかね」

その後、新幹線で、広島だったかを走っている時ふと町並み見ると、「あこや楽器店」という看板が見えた。
何かいわれのある名前に違いないと思った。

ある時、雑誌を読んでたら、坂東玉三郎が「兜軍記」で「阿古屋」を演じたという記事が目に飛び込んだ。
これか!
この芝居に、楽器の名手で「阿古屋」という名の女性が登場する。彼女が、琴、三味線、胡弓を弾いてみせるのが、見所の一つで、江戸時代には人気のある演目だったらしい。
当時、「あこや」といえば「楽器」だったのであろう。

歌舞伎は、テレビで見るだけだったが、去年初めて舞台を見た。
仮名手本忠臣蔵 七段目祇園一力茶屋の場」
大星由良之助が、世間の目を欺くため一力茶屋で遊び呆けている。江戸からの手紙を読んでいると、お軽が手鏡でそれを読んでしまう。
ここまでは、何度か見たことがある。

その後、お軽の兄、寺岡平右衛門が登場。
平右衛門がお軽を呼ぶ。
お軽が、「アイアイ、アニさん」と返事するのを聞いた時、突如、ひらめいた!
これは、アレではないのか?

45年前、小学生の私は、おばあちゃんとコタツでテレビを見ていた。
当時人気絶頂の、秋田A助、B助の漫才だった。特に、Bちゃんの猿の真似が子供に受けた。

画面では、Bちゃんが得意の猿の格好でAちゃんに駆け寄って、
「アニさん来たが、なんじゃいな〜?」と言っていた。
Aちゃんが、それではだめだと言って、何度もやり直させる。
Bちゃんはますますふざけて、
「アニさん来たが、これまった、なんじゃいな〜?」などと言って白目をむく。

私は、お軽が、「アニさん」と言った瞬間、Bちゃんの「アニさん」を思い出したのである。
手に汗握って舞台を見つめた。

お軽が、平右衛門に駆け寄った!
「アニさん来たが、なんじゃいな〜?」

やった!45年目にしてわかった「アニさん」の真実。

私の脳に聞きたい。
こんなしょーもないことを、なぜ45年間も大事に保存しておくのだ。