若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

私は、クラッシックの殿堂で歌った

息子が蛇を持って帰った話を、数年前、「ある日の出来事」という曲にして、尊師のボーカルクラスの発表会で歌った。
歌うのが好きでもない私が、なぜボーカル科の人たちに混じって歌う気になったのか?これは、尊師の黒魔術のせいであった。(尊師の黒魔術については、「ギター武者修行」ご参照ください)
黒魔術にかかったような歌い方だったと思う。

ある時、新聞に、「あこがれの秋篠音楽堂のステージに立ちませんか」という記事が出た。
クラッシック音楽専門のホール「秋篠音楽堂」で市民団体が市民参加のコンサートをするという。
私は即座に申し込んだ。別にあこがれてはいなかったが、あのステージに立ってみたいと思ったのである。
若さゆえの過ちであった。

演歌とロックはだめと書いてあったので、「フォークソング弾き語り」と書いて申し込んだ。「ある日の出来事」だけではさびしいので、急遽作ったのが「鹿せんべいツイスト」であった。

しばらくして、主催者の女性から電話がかかった。
「クラッシックのホールなので、マイクが使えません。声が届かないかもしれませんが」
「聞こえても聞こえなくてもよろしい」
「他の出演者は、クラッシックギターとかピアノとかコーラスなんで、フォーク弾き語りは浮くんじゃないかと思いますが」
「浮くのは慣れてます」
「では出演してください」

意外であった。オーディションとかテープ審査はないのか?
ないのであった。

次の週、打ち合わせがあった。
出演順などが決まっていて、私のところには
フォークソング独奏・ある日の出来事・鹿せんべいツイスト」と書いてあった。
主催者側が、どんな曲か全然気にしていないのが不思議であった。

コンサートの名称は、「原油漂着被災地支援チャリティコンサート」というのであった。

ギターを弾きながら歌いました。
鹿せんべいツイスト」の初演は、秋篠音楽堂である。
恵まれたスタートを切った曲なのである。

私の集客力のなさを反映して、客席はまばらであった。
いっしょにPTAの役員をしていた女性、Aさんの姿が見えた。
Aさんは、こちらを見ず、床に目を落としていた。
歌ってる間、何度かAさんを見たが、いつも床を見ていた。

終わってから、ロビーでAさんに会ったので、「下ばっかり見てたね」と言ったら、
「だって、見てられなかったわよ」

ガーン!