若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

これが伝統の祭なのか??

盆踊りで思い出した。

大学の時、美術部の合宿で長野県の山間の村に行った。
九月のはじめだった。

村には小さな湖があった。
湖のほとりの神社でスケッチをしていると、境内に男の子たちが集まってきた。
小学生から中学生という感じで、体操服を着て、手に手に戦国時代の旗指物みたいなのを持っている。
諏訪大明神」と書いた旗が風に翻っている。

この村のお祭りが始まるのだな、良いところに来たもんだと、うれしくなった。
おとなたちも集まってきた。
そして!パンパカパーン!
馬にまたがって神主さん登場!
かっこいい!堂々たるもんです。

よっしゃ!この村に何百年来伝わる、観光化していない、本当の、真実の、正真正銘の日本の祭りがはじまるのだ!

そのうち、何の合図もなく、神主さんを先頭に、ぞろぞろと神社を出発。
ほら貝を吹き鳴らしたりしないのが、少々物足りない。
私は、民宿の、木のサンダルをからころと鳴らして、後からついて行った。
湖を一周して戻ってくるのだろうという私の予想は外れて、行列は山のほうへ向かった。
たぶん山の中に、「分社」があって、そこで奇妙奇天烈摩訶不思議な一大神事が執り行われるのであろう。
私は、村人以外で初めての目撃者になるのだ!

しかし、遠いではないか。
昼前で腹がへっている。
木のサンダル、歩きにくい。

行列は山に入っていった。
帰ろうかと思った。
しかし、もう少しだろう。
小さい子がいるもの。

山林の中を歩いて行く。
右に曲がり左に曲がり上ったり下りたり。
腹がへる。
木のサンダル、歩きにくい。

もう帰れないと思った。
一人ではとても帰れない。最後までついて行くほかない。

山道が上りになった。下りなし。登る一方。
先に行った子供たちが、ワーッと歓声をあげた。
着いたのかな。
山道を上がりきると、視界が一気に開けて、なんと、一面見渡す限りのキャベツ畑であった。

子供たちは、斜面にどっと転がった。
私もいっしょに転がった。

しかし、何もないではないか。

行列は動かず、何かを待っているようであった。
は、はーん。
「分社」から、美しく清らかな巫女さんが、鈴を鳴らしてお迎えに出てくるのだ!

皆がざわついた。
「来た来た」という声。
巫女さん登場!
じゃなかった。

向こうから、爺さんが一人、のこのことやって来るではないか。

誰じゃ?