若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

本番前

24日の発表会を控えて、昨日は即席バンドのメンバーとスタジオで練習。
ドラムが「いっちー」、ベースが「ややや」君、もう一人のギターが「けんた」君。

本番前の練習というのが一番楽しい。
本番前の練習だけで、本番なしというのが理想である。

スピッツの曲を弾き終わったとき、ややや君がけんた君に
「あそこ、ちょっとおかしかったな」と言った。

「え?そうでした?」
「もう一回、弾いてみて」

「ああ、合うてるなー。鹿之助さん弾いてみて下さい」

こういう時、私はややや君の気配りを感じるのである。
彼は、私のギターがおかしいと思ったのである。
しかし、いきなり私に言うのは悪いと思って、とりあえず私よりはるかにうまいけれどはるかに若いけんた君に振ったのである。
ワンクッション置く事によって、ま〜るくおさまるのである。
大人の知恵である。

子供にはこういう知恵は無い。

去年の発表会で、大学四年生のみかちゃんといっしょにギターを弾いた。

出番前、控え室で待っている時、みかちゃんが私に
「チューニング、しましたか?」と聞いた。

彼女の目には不信感があふれていた。
私は一瞬ムカッとしたが、彼女が大学を出たら幼稚園の先生になるのを思い出した。

「お手々洗いましたか?」

彼女から見ると、ギターに関して、私は「幼稚園年長組」程度なのであろう。
私は、努めて明るく
「さっきしたよ」
と答えた。

彼女の目から不信の色は消えなかった。
「また狂ってるかも知れませんよ。今しときましょ」

私は再びムカッとした。
彼女から見ると、私は「幼稚園年中組」程度のようである。

私はチューナーを取り出して、ギターのチューニングをはじめた。
不信感に満ちた目で私のチューニングのしかたを見つめる彼女の視線を痛いほど感じた。

チューニングを終えて、私は再び努めて明るく
「終わった!」
と言った。

なんと、彼女の目にはまだ不信の色が浮かんでいるではないか。

「鹿之助さんのチューナー、どこのですか」
「『フェルナンデス』」
「私の『ボス』です。同じのでやっときましょか」

彼女は手を出して私のギターを取り上げると、自分でチューニングした。
そして、晴れ晴れとした顔で「ハイOKです」と私に渡した。

「幼稚園年少組」扱いである。
ここまでコケにされるとかえって気持ちよろしー。