若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

父と娘の会話

朝の駅で父親と娘の二人連れを見かけることがある。

いつもは難しい顔をしている人が、娘と二人だとニコニコしている。
私は、毎朝娘といっしょなので毎朝ニコニコだ。

私学の制服を着た女子高生が、ホームで父親と話している。
何か文句を言っているようだ。
私は、こういうのが好きなので必死に聞き耳を立てる。

聞こえないので、じりじり近づいて行く。
女子高生だけだと怪しまれるかもしれんが、父親と一緒なら大丈夫だ。と思う。

接近して聞き耳を立てる。

「もー、お母さんいうたら、なんべん言うてもわかれへんねやんかー。セイカバンに入れるものとホジョカバンにいれるものと、わかってないねやんかー」

一瞬何のことかと思った。
「正カバン」と「補助カバン」だ。
この女子高には、正カバンと補助カバンがあるのだ。
どこでもあるのかな。

「今日もやでー!もう、何べん言うてもわかれへんねんから!いやになるわー!正カバンに入れるて、なんべん言うても、補助カバンに入れるねん。腹立つわー。『あーそう』やて!むかつくわー」

ニコニコと聞いていた父親が、やさしく言った。

「それはな、お母さんに、『これは、正カバン』って言うたらええやろ」
「だーかーらー!何べんも言うてるって!何べん言うても間違うねんから!頭に来るわー!『あーそう』やて!お父さんから言うてよ!妻なんやから!」

「妻」という言葉を持ち出されて、お父さんは黙りこんでしまった。
「妻」の顔を思い浮かべたのであろう。

温厚そうなお父さんだ。
この娘は母親に似ているのだろう。
図太そうだ。

私なら、「学校へ持っていくものは自分で入れろ!」と、ビシーッと言う。と思う。