奈良に住んでいる強みで毎年正倉院展に行く人もいるでしょうが、私みたいに行かない人が多いと思います。
NHKTV「日曜美術館」、恒例の「正倉院展」を見て驚きました。
何を驚く?毎年この時期に取り上げるではないか、と思われるかもしれませんが、ゲストに驚いたんです。
演歌歌手の藤あや子さん。
いつに変わらぬあでやかな和服姿の藤さんが、亡き夫聖武天皇への思いを胸に小雨そぼ降る正倉院に一人たたずむ光明皇后の女心の切なさを歌い上げる新曲「雨の正倉院」を披露するのかと思ったら、ちがいました。
そうではなくて、藤さんは正倉院御物に対する造詣が深く毎年正倉院展を訪れているのかと思ったら、それもちがいました。
中学の修学旅行で見ただけだそうです。
藤さんは、趣味で絵を描いてるそうです。
私といっしょですがな。
それでゲストに呼んだんか?
なぜ藤あや子さんが本日のゲストなのかと、日本史にくわしくない人は困ってしまうでしょう。
聖武天皇の遺品を東大寺に寄贈した光明皇后は、藤原不比等の娘で、「藤三娘」ともいうんです。
この「藤」つながりでゲストとして招かれたのです。
と思います。
そうとでも思わなければ、今日、藤あや子さんがゲストに招かれたわけがぜんぜんわからないのである。
知ってる人おせーて。
番組の最後の、藤さんの言葉が印象的であった。
「正倉院御物は千三百年の時を経てますますホンモノになっているとおもいます。私も、誕生日が来たら、わ〜ん、いやだっ!と思うんじゃなくて、ますますホンモノに近づいて行ってるんだと思うようにします」
藤さんが千三百回目の誕生日をむかえるころホンモノになってることを祈りつつテレビをけしました。