若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

コレクター

物を集める趣味がないので、集める人は変わった人だと思ってしまう。

変わった人がいるのは楽しい。
先日読んだ「レンブラントでダーツ遊びとは」という本にも、コレクターが出てくる。

1999年に、イギリスの絵のコレクターが、「私が一生懸命金を稼いだのは貧乏人と差をつけるためだから、集めた絵を公開する気はない」というような意味のことを言ったらしい。

面白い人だ。
しかし、ほとんどの有名なコレクターは、自分で集めた美術作品を進んで公開しているようだ。
それで感謝され賞賛されるわけでもないのがむつかしい。

アメリカのアルバート・ジョーンズ博士は化学者で、二十世紀のはじめに防腐剤の発明で巨万の富を築いた。
美術に趣味のあった博士は、当時たいして評価されていなかった印象派や、全く評価されていなかったピカソマチスの絵を買い集めた。
そして1922年、自分のコレクションを公開したところ、新聞などでけちょんけちょんにやっつけられた。

「こんなごみみたいなものを集めてばっかじゃなかろうか」

そして、美術館や大学にマチスなどの絵を寄付しようとしたら、「そんなガラクタいりません」と断られてしまった。
当時の美術批評家でも、評価してくれる人は少なかったのだ。

気の毒である。
博士が、「よーし!もう見せてやらない!」と怒ったのも無理はない。
博士がへそを曲げてしまったため、長年にわたり近代美術、現代美術の重要な作品を誰も見ることができなかったそうだ。
気まぐれに見せてくれることがあったので、批評家などは身分を隠して、「運転手です」とかいって見せてもらっていたらしい。

だいぶ以前に散髪屋で、隣の椅子のおじいさんが、自分が持っている象牙細工がいかに素晴らしいか、熱烈にしゃべった。
店の主人も私も適当にフンフンと聞いていた。

散髪がすんでおじいさんは帰った。
しばらくして、そのおじいさんが象牙細工を持って現れたのには驚いた。
ふつう、見せびらかしたいんでしょうね。

これも昔。
テレビで小学生向けのクイズ番組があった。
回答者の子供達にアナウンサーがインタビューする。
「趣味はなんですか」と聞かれて、「切手を集めています」と答える子が多かった。

「今どれくらい持っていますか」
「8枚です」

枚数を聞くのが楽しみだった。