若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『印象派はこうして世界を征服した』

この本の書評を新聞で読んで、買おうかどうしようか迷った。

印象派のファンとしては、読みたくなるタイトルだが、著者の、フィリップ・フックが「競売人」というのがひっかかった。

絵を商売にする人の本は、面白くない。
本の帯に、「競売人が明かす美術史の舞台裏」と書いてあるが、商売人は舞台裏は明かさない、というか、明かせない。
明かせないと面白くない。

競売人というのは、絵を売ったり買ったりする人だ。
いや、絵を、売ったり買ったりさせる人だ。
有名なコレクターが死ぬと、さあ、絵が出てくろぞと張り切る。
そういう話を遠慮なく書くなら面白い。

絵については、商売人より、コレクターの書いた本が面白い。
とにかく、その絵が欲しい、手放したくない。
こういう人が絵について書くと面白い。

『気まぐれ美術館』などで有名な洲之内徹さんは画商だが、彼の本は面白い。

洲之内さんが書いている。
「絵が好きでは画商になれない」

この人は、気に入った絵は売らないのだ。
買いに来た人とけんかになる。
画商が絵を売らないと言っては客は怒りますよ。

そういう人が書いたものは面白い。
以前読んだ、大手画廊の社長の書いた本は、絵の値段のことばかり書いてあってあきれた。

印象派はこうして世界を征服した』、迷ったのだが、買いました。

1882年、パリのカフェに集まった、モネ、ピサロルノワールの三人は、世界征服をたくらんで、悪知恵を絞って計画を練った、と言うようなことが書いてあるわけではない。

この本を読んでも、印象派が世界を征服した理由なんかわかりませんよ。

だいたい、印象派は世界を征服したのか。
世界征服とは?

こういうええかげんなタイトルは、日本の出版社が勝手につけたのだろうと思ったら、原題でした。
あちらの出版社も、ええかげんですね。

画商やオークションの会社にとって、印象派は儲かるということはよくわかった。
この本を読んで、印象派の値段が暴落するのを見たいと思った。