若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ある結婚披露宴

テレビで「韓国食べ歩き」みたいな番組をしていた。

ブタ、トリ、キムチ、すべてうまくてうまくて、んも〜!たまらん!と出演者は言っていた。
トリをゆでた料理など、それだけを食べに飛行機で行く値打ちがあるというのが、出演者の一致した意見であった。
屋台の「あなご料理」も絶品だったようだ。

韓国の人は幸せだ。

テレビを見ていると、韓国だけでなく、日本中、世界中うまいものだらけだ。
人類は幸せだ。

私は韓国に行ったことはないが、行ったような雰囲気をかすかに味わったことがある。
取引先の社長が、韓国系と言うか北朝鮮系の人で、二十年程前その人の長男の結婚披露宴に招かれた。
百人ほどの出席者中、日本人は仕事関係の数人で、ひとつのテーブルについた。

披露宴が始まる前、司会者がやって来て私たちに言った。
「今日の披露宴は、私たちの国の言葉でやりますので、何を言ってるかわらないでしょうがご容赦ください」
ていねいな挨拶であった。
民族意識」が選んだ形式の披露宴だ。

披露宴が始まった。
言葉がわからないというのは想像以上に苦痛であった。

民族音楽の演奏があり、お年よりたちは音楽にあわせて踊った。
私たち日本人も、言葉がわからない鬱憤を晴らすように踊った。
音楽や踊りはいいもんだと思った。

若い人は踊らなかった。
お年よりは、自然に踊り、私たち日本人はやけくそで踊った。
今なら、朝鮮の音楽や踊りも当時よりはポピュラーになっているから、若い人も踊るのではないかと思う。

いろいろ難しいなと感じた。

若い人の中には、言葉がわからない人もかなりいたようだ。
出席者中、チョゴリを着ていたのは若い女性ただ一人であった。
私が子供の頃は、近所でチョゴリを着た中高年の女性をよく見たから、これは意外であった。

この若い女性は「民族意識」に燃えている人なのだろうと思った。
しかし、そんな単純な話ではなかった。

その女性は、今日の新郎の弟の奥さんで、日本人なのだった。
むずかしいもんだ。