地域新聞の読者コーナー「探しています」欄。
「60年前、大阪大同病院で看護士をしていた、実家が宇陀郡のお茶屋さんで、ニックネームとんちゃん。連絡ください」
当時の同僚の方の投稿だ。
会わせてあげたい!
何とかして会わせてあげたい!
60年前、若いお二人は看護婦として戦火の中を、大阪大空襲を生きぬいたのだ。
生き抜いたばかりではない。
空襲で負傷したおびただしい人々の看護に不眠不休の活躍をされ、おびただしい数の死者を見送ってこられたのではないか。
戦後のどさくさで音信不通になってしまったのだろうか。
私が子供の頃、ラジオで「尋ね人の時間」というのがあった。
うっすら覚えているだけだが、アナウンサーが、
「昭和○○年頃、東京××に住んでおられた△さん。○×さんが探しておられます」等と淡々と読み上げていく。
子供心に、なんともさびしい、頼りない、悲しい気持ちになったものだ。
この投稿者はたぶん80過ぎだ。
ふと、とんちゃんのことを思い出して投稿されたのであろうか。
あるいは、ずっと心に引っかかりながら、そう深い付き合いでもなかったし、とそのままにしていたが、年々募る懐かしさに、思い切って投稿されたのであろうか。
それにしても腹が立つのはこのミニ新聞だ。
この投稿をなぜ他のしょーもない「探しています」と同じ扱いにするのだ!
「探しています。先週の『ダウンタウンのアホかいな』を録画された方」
「探しています。ペットのセキセイインコ、アメリア・エリザベス・フォン・ローフェンシュタイン二世が逃げました。頭赤頬黄顎青。『アメリア・エリザベス・フォン・ローフェンシュタイン二世!』と呼べば『ニイハオ!』と返事をします。」
なぜこんなものといっしょにする!
なぜインタビューしない。
全社をあげて取り組むべきだ。
「宿便すっきり黒酢健康法」を特集してる場合か!