某金融機関から隔月に小冊子が送られてくる。
主に経済問題を取り上げているのだが、最後に「愛のメッセージ」というページがある。
結婚披露宴用の、「主としてご年配の、主賓者むきのテーブルスピーチ集です」
毎号二つ例があげてある。
それほど結婚披露宴のスピーチで困っている人がいるのだろうか。
編集者が「披露宴スピーチマニア」としか思えない。
その「例」であるが、前にも紹介したが、かなりヘンである。
「例話43:守れない約束は早く修正を」
女性というものは男の「約束」をかたくなに信じる性質を持っているので、女性に対して何か約束すると、しばしば恐ろしい結末を招くことがあります。
マイホーム・マイカー・海外旅行などを約束して奥さんに責められている若いご主人は自業自得と言えるでしょう。
新郎様には失礼ですが、新婦様も結婚前の甘い話を再チェックして、正常な結婚生活をスタートさせることをお祈りして私の祝辞といたします。
この例話を書いた人は、虚言癖があって若い頃からホラを吹きまくりはったりをかましその場しのぎの口から出まかせをならべたてた報いで正常な結婚生活を送れずひどい目にあってきたに違いない。
「例話44:夫婦間の禁句」
夫婦喧嘩というものは、どちらかが口にしてはならないことを口にしたことがきっかけで起きるものです。
たとえば、亭主が奥さんに、「チビのクセに」とか「ブタ」とか「デブ」とか言ってはいけません。
「キリギリス」「大根足」もダメです。
年上の女性と結婚したからといって、「ウチのばあさんが」などと言ってはいけません。
「お隣の奥さんのおっぱいは本当に魅力的だなあ」などと言ってはいけません。おっぱいの小さいのがイヤなら大きなおっぱいの女性と結婚すればよかったのです。
女性は男性と違って自分の容姿を特に気にしますから、これを非難することは絶対に避けて欲しいものであります。
この人は奥さんを、チビ!ブタ!デブ!とののしり、ウチのばあさんと呼び、お隣の奥さんのおっぱいをうらやましがっては怒り狂った奥さんにぶちのめされてきたのであろう。
いや、奥さんからチビ!ブタ!デブ!とののしられてきたのかな。
いずれにせよ、単なる出来合いのあいさつではなく、自らの体験に根ざした、実感のこもった真情あふれる良いスピーチだと思う。