若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「私の大好きなお父様」

昨日、次女が高校時代の友達、A子さんの結婚式に招かれた。

高校は音楽科だったので、学校の発表会は何度か聞きに行った。
A子さんが、「恋とはどんなものかしら」を歌ったことがある。
声量が豊かでなく、音程が不安定な彼女の歌を聞いて、曲の感じがよく出ていていいと思った。この曲は堂々と立派に歌い上げてはいけないのです、と彼女に教えられた。

昨日の披露宴で、A子さんのリクエストで、高校で声楽科だったB子さんが、「私の大好きなお父さま」を歌い、娘が伴奏をした。
曲は知らなくても、題名を聞いただけで、年頃の娘を持つ父親ならふにゃふにゃになる。
おまけに美しい名曲だから、聞いたら泣いてしまう。

結婚披露宴で、「私の大好きなお父さま」を歌われたら、花嫁の父大泣き確実だが、A子さんのお父さんは何年か前に亡くなっている。

題名は、他の訳し方もあって、「私のお父さま」「お父さまお願い」「私のいとしいお父さま」などがあるようだが、やはり、「私の大好きなお父さま」が一番ぐっとくる。どれが正しいか知りませんが。

だいたい、今時「お父さま」という言葉を聞く機会が少ない。
私がそういう機会に恵まれないだけかもしれないが。
何年か前叔父の葬式に出た。
焼き場で、棺おけが焼却炉に入っていくのを見送っているとき、叔父の長男の奥さんが、「お父さま!ありがとうございました!」と叫んだ。
感動するより驚いたが、「お父さま」という言葉を聞いたのはこのときだけだ。

「私の大好きなお父さま」は、プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」の中で歌われる曲だそうだ。
オペラの筋書きを読むと、なんだかわけのわからん話だ。
そのなかで、娘が父親を脅迫して歌う、と書いてある。
「脅迫」とは穏やかでない。
娘の脅迫なら可愛いものかもしれないとも思うが、まだ脅迫されたことがないのでわからない。

まあ、この曲の感じで脅迫されるならいいと思う。

A子さんからは、はじめ、「私の大好きなお父さま」のほかに、シューベルトの「鱒」も歌ってほしいと言われていて、練習もしていた。
ポピュラーな名曲だ。
ところが、新郎側からクレームがついて取りやめになった。
「マスオさん」をイメージされたようだ。
おめでたい席での選曲は難しいものだ。