若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

人生には上り坂もあれば下り坂もある、一番大変なのが「まさかの坂」。
結婚披露宴の来賓あいさつや、お坊さんの法話の定番ですね。

散髪に行った。
主人と奥さん二人でやっている店だが、最近奥さんの愚痴が多い。
私よりいくつか年上だと思う。
立ちっぱなしの仕事なのでひざがつらいという。

スーパーや市場に、自転車で買い物に行くのだが、坂がしんどいので電動自転車を買ったそうだ。

坂?
このあたりに坂はないはずだ。
スーパーへ行くにも市場へ行くにも、坂はない。

「いや、ありますよー。市場の手前に」
「・・・ああ!あれ?!あれは坂のうちに入らんでしょう。奥さん、情けないねー」
「うわ!言うたねー!今に見てなさい!あの坂が、しんどなるから!」

そうかもしれない、というか、そうなんでしょうな。

「そら、私かて、若いときは、自転車の前と後ろに娘乗せて、前かごに荷物いっぱい積んで、あんな坂、平気で上ったよ!」

あんな坂より、まさかの坂、まさかひざがこれほど弱るとは思わなかった。

先日、乗馬クラブで、初めて見る女性と話した。
64、5歳だろうと思った。

「私、64歳なんです」
「そうですか」
「トシを言うと、皆さんびっくりされるんです。とてもそうは見えないって」
「・・・」

びっくりしそこなって失礼なことであったが、後悔先に立たず、びっくりしなおすことが出来ないのが残念であった。
こう言ってほしかった。

「皆さん、とてもそう見えないってびっくりされるんですが、私、64歳なんです」
「え、え〜〜っ!64!」

こういう導入部があれば、私だって、期待通りの反応はできますよ。

その方は、昔から乗馬にあこがれていた。
若いころから、馬に乗りたくてしかたがなかったのだが、ご主人がどうしても許してくれなかった。

何度も何度も頼んだが、ダメ!の一点張りで、すっかりあきらめて、まさか馬に乗れるとは思っていなかったが、やっと念願かなって、去年の11月に乗馬クラブに入った。

「よかったですねえ!とうとうご主人を説得できたんですね」
「いえ、主人が死んだんです」
「・・・」

絶句いたしました。
何と申し上げてよいやら。(ーー;)
まさかのさかです。