若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

金メダルへの水着

テレビでオリンピック関連の番組が多い。

昨日は、競泳用の水着や、マラソン用の靴の開発について放送していた。
競泳用の水着は、水の抵抗を少なくするため大変な努力をしている。
「鮫肌水着」の胸の部分に、小さな突起をつけることで水の抵抗が減り、渦ができなくなるらしい。
どのくらいの大きさの突起を、いくつ、どのあたりにつけるかが問題だそうだ。

新聞で、「鮫肌水着に突起」という記事を見ただけなら、「へー!」と感心して終わりだ。
テレビのこういう番組で、開発担当者が映し出され、完成までの試行錯誤の数々が事細かに紹介されるのを見ると、私はいつも「共感」と「違和感」を感じてしまう。

「共感」は説明しやすい。
「商売とはいえ大変ですねー」
「お互い苦労しますなー」

「違和感」は説明しにくい。
「あわれ」
「さびしー」
「グロテスク」(醜悪、というより、怪異なるものという感じ)
「あんたこの世に何しに来たの」

こう書いてみると、「違和感」の方も、「私もそうなんですが」という共感を伴っていることが分かる。

二十年ほど前、「ハンバーグ戦争」というドキュメンタリーを見た。

ある大手食品会社の、ハンバーグ担当課長が主人公だ。
十数人の課員を前にして課長が絶叫する。
「たかが百円のハンバーグだ!しかーし!このハンバーグに命をかけるつもりでやってみろ!」

あのハンバーグにこれだけの思いが、と思うと「共感」と「違和感」で胸がいっぱいになって私はハンバーグを食べる気がしなくなった。
命がけで作ってくれなくてもいい。
ふつうのハンバーグでいい。

宅急便。
東京に送る荷物を夕方取りに来た。
翌朝9時半、東京から、今つきました、という電話が入って感心した。
次に宅急便を頼んだ時、運転手にその話をしたら、「ぼくら、メシ食うひまもないんです」と言った。

そんなにまでしてくれなくていい。
宅急便は、利用している分にはすばらしいシステムだ。
しかし、「密着取材」すれば、そこまでしてくれなくても、ということになるだろう。

今、水着メーカーとシューズメーカーが、宅急便運転手用の服と靴を試作している。水着タイプの制服で、空気の抵抗を少なくして、より早く走り回れるそうだ。
開発に成功すれば、宅急便は今より0.8秒早くつくようになるので、開発担当者は命がけである。