私は、花ちゃんのおじいちゃんです。
単なるおじいちゃんではない。
花ちゃんといっしょにいる時に、「おじいちゃん」と呼ばれるのには何の抵抗もありません。
あたりまえです。
一人でいる時に、「おじいちゃん」と呼ばれたら、違和感がある、どころの騒ぎじゃないですね。
初めて花ちゃんと外に出るとき、パパとまちがえられたらどうしようと、心配であった。
「パパといっしょでいいねえ」と声をかけられたら、間髪をいれず、「いや、ちがいます!」と、きっぱりと否定しようと身構えていた。
せっかく用意周到に身構えていたのに、最初に出会った人が、なんのためらいもなく、「おじいちゃんといっしょでいいねえ」と声をかけてきたので、カックンとなった。
これまでのところ、「パパといっしょでいいねえ」と声をかけてきた奇特な人はいない。
今のところいないが、この先、現れないとも限らない。
世の中、どんな人がいるかわからないと思って、相変わらず、油断せず身構えているので、花ちゃんといっしょだと、肩がこってしかたがない。
肩がこるくらいはよろしい。
今日も、公園の前のバス停で、花ちゃんは、おじいちゃんおばあちゃんたちに笑顔を振りまいた。
とことこ歩く花ちゃんを追っかけていたら、80代半ばと思える老婦人に、「おじいちゃんも大変ですなあ」と声をかけられた。
それでいいんですけど、なんちゅうか、脳がこる感じがした。
肩がこるより、脳がこる。
つい何年か前まで、母がいる要介護老人施設に行くと、70代80代90代の女性達から、「おにいちゃん」と呼ばれていたのだ。
その頃に戻りたいか?
いや、戻りたくはないです。