きのう、ゆうちゃんは、パパと「親子田植え大会」に参加しました。
ニコニコ突撃隊長暴れん坊将軍2歳児のゆうちゃんに田植えができるのか。
まずパパがお手本を見せる。
ゆうちゃんのパパは、日本文化の基礎として、また日本人の体型や所作を形成する上での「田植え」という作業を特別に重視する人で、「田植えなくして日本文化なし。田植えなくして日本人なし」との信念から、田植えの歴史、技術を文献的に研究するだけでなく、自らも毎年水田に入って体験することを欠かさない奇特な人というわけではなく、ごくふつうの人です。
で、ごくふつうの人であるパパが、お手本を見せる。
慎重にまっすぐに一列に植えていく。
半分ほど植えたところで、「ゆうちゃん、こうやるんやぞ」と声をかけたら、真剣に見つめていたゆうちゃんがにっこり笑ってうなずくと、目を輝かせて、パパが植えたばかりの苗を引っこ抜き始めた。
「ちがうちがう!」
あわててとパパが叫ぶと、なお喜んで次々に抜く。
ぜ〜んぶ引っこ抜いたゆうちゃんは、「ダハハ〜!」と満足そうに笑ったそうです。
「ゆうちゃん、ちがうんや。こうするんや」
パパはまた一からやり直した。
それをまたゆうちゃんが喜んで次々に抜いていく。
「いや、ちがうんや。こうするんや」
それをまたゆうちゃんが(以下同文)
梅雨の晴れ間ののどかな水田を舞台に、パパとゆうちゃんとの凄絶な戦いが始まったのであった。
パパが植え、ゆうちゃんが引っこ抜く。
ほかの親子はとっくに植え終わり、あぜ道に座っていつ果てるとも知れぬ戦いに声援を送るのであった。
「パパ!がんばれ!」
「ゆうちゃん!負けるな!」
西の空が夕焼けに染まり、カラスがねぐらに帰る頃、どろんこになって疲れ果てたパパと、どろんこになって大喜びのゆうちゃんは、ぐちゃぐちゃの田んぼを後に、カラスといっしょに帰りましょうと家路についたのであった。