高校時代の友人、O君からメール。
「去年と同じ所で飲もう」
これだけでは訳がわからんが、O君は訳のわからん男なので仕方がない。
去年彼が石垣島に行くと言って、ムリヤリ歓送会をやらされたことがある。
(10/1「いかがわしい歓送会」)
彼は、冬の間は石垣島で暮らす。
今年ももう出発するので、また歓送会をしてほしいようだ。
困った男だ。
去年と同じメンバーで飲む。
KさんとSさんは、同期では一、二を争う美女である。
この日記を読まれるといけないから、そんなことを書くのだろうと邪推する人もいるだろうが、かたい話はぬきだ。
O君が、「石垣島日記」と書いた手帳を見せたがるので、Kさんがしかたなく手に取ったが、「きれいな字やね」と言って、すぐ私に渡した。
O君はがっかりしたようだが、すぐ気を取り直して私に、「最初の俳句がええやろ」と言った。
俳句など書いてない。
「枕草子」の一節と思しき文章が書いてある。
清少納言が石垣島に住んでいたらこんな風に書いたかもしれない、イヤ、書くわけない!と言うような文章だ。
私が、これは俳句ではない、と言うと、O君は、「次の頁の短歌は?」と言う。
今度は確かに短歌だった。
「見渡せばパイナップルもなかりけり石垣島の秋の夕暮れ」
西行や俊成が石垣島に行ったらこんな風に詠んだかも知れない、イヤ、詠むわけない!というような歌だ。
もっと読んでほしそうだったが、もういい。
Sさんに回す。
Sさんは、「老眼鏡を持ってないから」と、上手に断ったので、O君は、苦心の「石垣島日記」を残念そうにかばんにしまった。
O君とSさんの、「信楽旅行」の話になった。
高校の同窓だった男女が、信楽に焼き物を鑑賞しに行ったのである。
いい設定だ。
火曜メロドラマ「熟年カップル信楽の恋」か、水曜サスペンス「信楽焼きバラバラ殺人事件」か。
この二人ではどちらにもならない。
二人が待ち合わせた天王寺駅近辺には、浮浪者のたまり場みたいな所があって、ベンチにそういう人たちが座っていた。
O君がいつものような「浮浪者の王」といういでたちで現れると、座っていた浮浪者が立ち上がって、「どうぞ」と言ってくれたそうだ。
Sさんは、信楽で初めて訪ねた陶芸家から犬の散歩を頼まれて30分ほど走り回ったそうだ。
これが、二人の信楽旅行のハイライトだ。
わけがわからん。