毎年、得意先からクリスマスケーキを買わされる。
ウチの得意先の得意先の得意先が、大手ケーキメーカーなのである。
毎年、「協力販売申込書」がまわってくる。
「押し付け販売申込書」とは書いてない。
「協力販売」はヘンだ。
「協力購入」が正しいと思う。
11月ごろに申し込んで、クリスマスに配達してくれる。
昔は、クリスマスが終わってから、売れ残ったケーキを「協力販売」などというひどい時期もあった。
いずれにせよ、名の通ったメーカーのケーキだから、そう「押し付けられた!」という感じはしない。
同じ「協力販売」でも、名も知れぬメーカーの「強力深海鮫エキス」とか、「スーパー安眠枕」などは、「押し付けられ度」が高い。
以前、暖冬と言われた冬が過ぎてから、「使い捨てカイロ」の「協力販売」があった。
「押し付けられ度100%」だ。
「アイデア倒れ商品」の「協力販売」で思い出すのは、「火持ちの良いマッチ」だ。
昔々の、マッチ全盛期の話だ。
火がつきにくい、すぐ消える、などの苦情に対してマッチメーカーが改良に力を入れていた。
某マッチマーカーの開発担当者は、マッチの軸にパラフィンをしみこませることで、「驚異の火持ち」を実現した。
しかし売れなかった。
吹いても振っても「驚異の火持ち力」を発揮して、なかなか消えない。
非常に消えにくい「危ないマッチ」と評判になってしまったのだ。
「つけた火はちゃんと消すまであなたの火」
この「全国火災予防週間」の標語が身にしみる物語である。