家内が怒ってます。
チャイムが鳴った。
いつもの宅配便の若者で、「荷物です」と言った。
頼んであったものが来たのかと出たら、「実は・・・」と、アスパラガスを買わされた。
てきぱきとした仕事振りで、好感の持てる若者だが、非常にうしろめたそうだった。
会社の命令で、売らされているのだろうと、気の毒になって買ったものの、会社のやり方に腹がたつというのである。
まあ、うまい商売だと言える。
家庭の主婦の、甘さを突いた商売だ。
我が、東大阪市の中小企業地帯で、こういうことをするおめでたい運送会社もある。
荷物を運んできた運転手に、カタログを持たせて、ラーメンや農産物を売ろうとする。
厳しい商売の現場で鍛え抜かれた中小企業地帯で、相手にされるわけがない。
私も一切相手にしない。
いかにも素朴そうな娘さんが、大きな荷物をかついで、会社にやってくることがある。
「秋田から来たんですが、名産の○○買ってくれませんか」
あるいは、「貴社のお得意先の○○様の御紹介で」
あほかいな。
それで売れるなら苦労せんワ。
ここをどこやと思てはりまんねん。
宅配便のドライバーに、お得意先家庭の奥様方の情けにすがって売らせる。
うまい商売というより、情けない商売である。
本業では、厳しい修羅場を潜り抜けているはずなのに、こういう愚かなことを考えるのが、人間のおもしろいところだ。
気の毒がって買わずに、断ればいい、というのが一つ。
ドライバーが、というか、組合が、物品販売を断ればいいというのが一つ。
個人営業の運送業者が、配達のついでに売り込むなら、商売熱心な人、ということになる。
会社がやらせるのがいけないのか。
社員がやる気を出して、「売って来ます!」と言うならいいのか。
「売って来ます!」と言わせるように仕向ける会社が、「優良企業」なのか。
「無茶をする人達」という写真を見たことがある。
「発展途上国運送事情」という感じのもので、自転車で大きな電気冷蔵庫を運んだりしている。
すごい!と感心する。
運送会社が、積載重量オーバーで走らせるのは、感心しない。
「無茶をする」のは、よくないが、人間的だ。
「無茶をさせる」のもよくないが、こっちは非人間的だ。
ビジネスになるといろいろ難しい。